私たちの手で世界の未来を変えていく、「エシカル消費」

私たちの手で世界の未来を変えていく、「エシカル消費」
エシカル消費とは

「エシカル消費」とは、倫理的(エシカル:Ethical)な消費を行うということです。
倫理的という語の意味がややわかりにくいかもしれませんが、平たくいえば「人、社会、環境、地域などに配慮してつくられたモノを購入し、消費すること」です。例えば、「エネルギー効率がよく、寿命の長いLED電球を使う」、「省エネ家電に買い替える」、「エコバッグを持って買い物に行く」、「プラスチックのストローを使わない」といったことはエシカル消費の一例です。

なぜ今、エシカル消費が求められているのか

資源、環境、人権など、現代社会はさまざまな問題を抱えていますが、じつはそれらは私たちの消費行動と深くかかわっています。

資源・エネルギー問題

18世紀の産業革命以降、石炭がエネルギー源となり、工業が発達しました。さらに20世紀中頃から石油が主要なエネルギー源となったことで、社会の生産力は飛躍的に向上し、私たちの生活は便利で快適なものになりました。

しかしその結果、エネルギー消費は増大し、石炭、石油、ガスなどの資源は枯渇の危機に瀕しています。各資源の可採年数を「エネルギー白書」(2010年版)で見てみると、原油は42年、天然ガスは60年と予測されています。石炭はアジアを含む世界に広く賦存しているため、可採年数は122年と見られていますが、それさえも遠い未来のことではありません。

大量生産・大量消費のライフスタイルは、地球に大きな負担をかけています。地球1個分が作り出す資源やエネルギーに対して、私たちは現在、1.5個分を消費しているといわれています。

環境問題

石炭や石油などの化石燃料を燃やすと、二酸化炭素(CO2)が発生します。大気中のCO2濃度が増加すると、地球の周りを取り囲んでいる温室効果ガスが増え、地表面からの熱が大気圏外に放出されにくくなり、熱がこもってしまいます。これが地球の温暖化です。

世界の平均気温は1891年の統計開始以来、上昇しつづけており、とくに1990年代の半ば以降、高温になる年が増えています<図1>。このまま地球温暖化が進むと、今世紀末頃までに気温は最大で6度以上上昇し、海面は18~59センチ上昇すると予測され、熱波による死亡や疾病、食料不足、水資源の不足、農業生産の減少など、さまざまなリスクが増大すると考えられています。

2015年、国連は気候変動に関する国際的な枠組み「パリ協定」に合意しました。パリ協定は、先進国だけでなく途上国を含むすべての参加国と地域に対して、CO2排出の削減努力を求めています。地球温暖化は世界共通の大きな課題なのです。

国立環境研究所の調査による日本のCO2排出量を見ると、2017年度は全体で約11億9000万tでした。このうち家庭から出るCO2の量は約1億8600万tで、全体の15.6%を占めています<図2>。これは決して少ない量ではありません。

図1 世界の平均気温は上昇をつづけている

*図出典/気象庁「世界の年平均気温偏差の経年変化(1891〜2018年)」
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html

図2 日本の部門別CO2排出量の割合

*図出典/国立環境研究所「日本の部門別二酸化炭素排出量(2017年度)」
https://www.jccca.org/chart/chart04_04.html

児童労働

国際労働機関(ILO)によると、世界の5歳から17歳の子どもの10人に1人、計1億5200万人が児童労働に従事させられています<図3>。そのうち7300万人が、肉体的・心理的または性的な虐待を受けたり、危険な機械や有害物質を使用した作業、坑内や水中など危険な場所での労働、長時間労働や夜間労働などを余儀なくされています。十分に成長していない子どもにとっては、おとなと同じ作業でも病気やけがにつながることが多く、生命の危機にさらされる場合も少なくありません。

パーム油という植物油脂は、食品から生活用品、化粧品、医薬品など幅広い用途に使われ、農地面積あたりの生産量が高いことから、ここ20~30年で需要が急速に拡大していますが、主要生産国の多くが政府の基盤が脆弱な途上国のため、パーム油農園が児童労働の温床となりやすい傾向にあります。

例えば、マレーシアの農園ではインドネシアからの移住者が多く働いています。インドネシア人の子どもはマレーシアの学校に入学することができず、教育を受けることができません。また、厳しいノルマ、債務労働、最低賃金を無視した歩合制賃金など労働者の権利を無視した労働環境にあり、子どもも家計を支えるために働かざるを得ないのです。こうしたことから、アメリカの労働省はパーム油を強制労働や児童労働への関与が認められる製品に指定しています。

2013年、バングラデシュでは8階建ての縫製工場が崩壊し、約1100人が死亡するという痛ましい事故が発生しました。ここでつくられていたのは欧米で人気のファストファッションやグローバルなアパレルブランドの洋服で、従業員の約8割は18~20歳の女性でした。彼女たちは1日13~14時間もの長時間労働を強いられながら、月給は5000円足らずしかもらっていませんでした。建物は老朽化していた上に、違法な増築が重ねられ、いたるところに亀裂が入っていましたが、経営者は製品の納期を優先し危険を放置しつづけていたのです。

図3 児童労働の現状

児童労働の現状(2016年)
世界の児童労働者数(5~17歳) 1億5200万人

(うち7300万人が危険有害労働に従事)

男女別 男子:8800万人
女子:6400万人
地域別

(人数、域内の子ども全体に占める割合)

アジア太平洋:6200万人(7.4%)
アフリカ:7200万人(19.6%)
南北アメリカ:1000万(5.3%)

アラブ諸国:116万人(2.9%)

ヨーロッパ・中央アジア:553万人(4.1%)

経済部門別

(人数、児童労働に占める割合)

農業:1億700万人(70.9%)

サービス業:2610万人(17.2%)

工業:1800万人(11.9%)

*図出典/国際労働機関「児童労働」より抜粋作成
https://www.ilo.org/tokyo/areas-of-work/child-labour/lang–ja/index.htm

ごみ問題

日本では現在、ごみの捨て方は自治体ごとに定められ、捨てる側がある程度の分別をして廃棄することが義務付けられています。紙、プラスチック、ビン、缶などを捨てる際にはリサイクルを意識し、分別している方も多いことでしょう。

しかし日本のリサイクル率はわずか19%にとどまり、77%のごみは焼却されているのが現状です。OECDが加盟34か国を調べたところ、日本のリサイクル率は下から5番目で、焼却率のほうは2位のノルウェー(57%)、3位のデンマーク(54%)を大きく引き離して1位となっています。

ごみを焼却する際に発生するCO2も、当然のことながら地球温暖化の一因です。また、ごみは焼却して体積を小さくしてから埋立てされていますが、国内の埋立処分場は近い将来、満杯になると予想されています。

このように、私たちが毎日使っているエネルギーが地球環境を悪化させる原因になっていたり、ふだん食べている食品やいつも使っている日用品が、途上国の人々の犠牲によって作られている可能性があります。持続可能な社会を構築していくには、製造生産のプロセス、流通、消費後の廃棄までを意識し、購入・消費することが重要です。