私たちの手で世界の未来を変えていく、「エシカル消費」

私たちの手で世界の未来を変えていく、「エシカル消費」
エシカル消費とは

「エシカル消費」とは、倫理的(エシカル:Ethical)な消費を行うということです。
倫理的という語の意味がややわかりにくいかもしれませんが、平たくいえば「人、社会、環境、地域などに配慮してつくられたモノを購入し、消費すること」です。例えば、「エネルギー効率がよく、寿命の長いLED電球を使う」、「省エネ家電に買い替える」、「エコバッグを持って買い物に行く」、「プラスチックのストローを使わない」といったことはエシカル消費の一例です。

なぜ今、エシカル消費が求められているのか

資源、環境、人権など、現代社会はさまざまな問題を抱えていますが、じつはそれらは私たちの消費行動と深くかかわっています。

資源・エネルギー問題

18世紀の産業革命以降、石炭がエネルギー源となり、工業が発達しました。さらに20世紀中頃から石油が主要なエネルギー源となったことで、社会の生産力は飛躍的に向上し、私たちの生活は便利で快適なものになりました。

しかしその結果、エネルギー消費は増大し、石炭、石油、ガスなどの資源は枯渇の危機に瀕しています。各資源の可採年数を「エネルギー白書」(2010年版)で見てみると、原油は42年、天然ガスは60年と予測されています。石炭はアジアを含む世界に広く賦存しているため、可採年数は122年と見られていますが、それさえも遠い未来のことではありません。

大量生産・大量消費のライフスタイルは、地球に大きな負担をかけています。地球1個分が作り出す資源やエネルギーに対して、私たちは現在、1.5個分を消費しているといわれています。

環境問題

石炭や石油などの化石燃料を燃やすと、二酸化炭素(CO2)が発生します。大気中のCO2濃度が増加すると、地球の周りを取り囲んでいる温室効果ガスが増え、地表面からの熱が大気圏外に放出されにくくなり、熱がこもってしまいます。これが地球の温暖化です。

世界の平均気温は1891年の統計開始以来、上昇しつづけており、とくに1990年代の半ば以降、高温になる年が増えています<図1>。このまま地球温暖化が進むと、今世紀末頃までに気温は最大で6度以上上昇し、海面は18~59センチ上昇すると予測され、熱波による死亡や疾病、食料不足、水資源の不足、農業生産の減少など、さまざまなリスクが増大すると考えられています。

2015年、国連は気候変動に関する国際的な枠組み「パリ協定」に合意しました。パリ協定は、先進国だけでなく途上国を含むすべての参加国と地域に対して、CO2排出の削減努力を求めています。地球温暖化は世界共通の大きな課題なのです。

国立環境研究所の調査による日本のCO2排出量を見ると、2017年度は全体で約11億9000万tでした。このうち家庭から出るCO2の量は約1億8600万tで、全体の15.6%を占めています<図2>。これは決して少ない量ではありません。

図1 世界の平均気温は上昇をつづけている

*図出典/気象庁「世界の年平均気温偏差の経年変化(1891〜2018年)」
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html

図2 日本の部門別CO2排出量の割合

*図出典/国立環境研究所「日本の部門別二酸化炭素排出量(2017年度)」
https://www.jccca.org/chart/chart04_04.html

児童労働

国際労働機関(ILO)によると、世界の5歳から17歳の子どもの10人に1人、計1億5200万人が児童労働に従事させられています<図3>。そのうち7300万人が、肉体的・心理的または性的な虐待を受けたり、危険な機械や有害物質を使用した作業、坑内や水中など危険な場所での労働、長時間労働や夜間労働などを余儀なくされています。十分に成長していない子どもにとっては、おとなと同じ作業でも病気やけがにつながることが多く、生命の危機にさらされる場合も少なくありません。

パーム油という植物油脂は、食品から生活用品、化粧品、医薬品など幅広い用途に使われ、農地面積あたりの生産量が高いことから、ここ20~30年で需要が急速に拡大していますが、主要生産国の多くが政府の基盤が脆弱な途上国のため、パーム油農園が児童労働の温床となりやすい傾向にあります。

例えば、マレーシアの農園ではインドネシアからの移住者が多く働いています。インドネシア人の子どもはマレーシアの学校に入学することができず、教育を受けることができません。また、厳しいノルマ、債務労働、最低賃金を無視した歩合制賃金など労働者の権利を無視した労働環境にあり、子どもも家計を支えるために働かざるを得ないのです。こうしたことから、アメリカの労働省はパーム油を強制労働や児童労働への関与が認められる製品に指定しています。

2013年、バングラデシュでは8階建ての縫製工場が崩壊し、約1100人が死亡するという痛ましい事故が発生しました。ここでつくられていたのは欧米で人気のファストファッションやグローバルなアパレルブランドの洋服で、従業員の約8割は18~20歳の女性でした。彼女たちは1日13~14時間もの長時間労働を強いられながら、月給は5000円足らずしかもらっていませんでした。建物は老朽化していた上に、違法な増築が重ねられ、いたるところに亀裂が入っていましたが、経営者は製品の納期を優先し危険を放置しつづけていたのです。

図3 児童労働の現状

児童労働の現状(2016年)
世界の児童労働者数(5~17歳) 1億5200万人

(うち7300万人が危険有害労働に従事)

男女別 男子:8800万人
女子:6400万人
地域別

(人数、域内の子ども全体に占める割合)

アジア太平洋:6200万人(7.4%)
アフリカ:7200万人(19.6%)
南北アメリカ:1000万(5.3%)

アラブ諸国:116万人(2.9%)

ヨーロッパ・中央アジア:553万人(4.1%)

経済部門別

(人数、児童労働に占める割合)

農業:1億700万人(70.9%)

サービス業:2610万人(17.2%)

工業:1800万人(11.9%)

*図出典/国際労働機関「児童労働」より抜粋作成
https://www.ilo.org/tokyo/areas-of-work/child-labour/lang–ja/index.htm

ごみ問題

日本では現在、ごみの捨て方は自治体ごとに定められ、捨てる側がある程度の分別をして廃棄することが義務付けられています。紙、プラスチック、ビン、缶などを捨てる際にはリサイクルを意識し、分別している方も多いことでしょう。

しかし日本のリサイクル率はわずか19%にとどまり、77%のごみは焼却されているのが現状です。OECDが加盟34か国を調べたところ、日本のリサイクル率は下から5番目で、焼却率のほうは2位のノルウェー(57%)、3位のデンマーク(54%)を大きく引き離して1位となっています。

ごみを焼却する際に発生するCO2も、当然のことながら地球温暖化の一因です。また、ごみは焼却して体積を小さくしてから埋立てされていますが、国内の埋立処分場は近い将来、満杯になると予想されています。

このように、私たちが毎日使っているエネルギーが地球環境を悪化させる原因になっていたり、ふだん食べている食品やいつも使っている日用品が、途上国の人々の犠牲によって作られている可能性があります。持続可能な社会を構築していくには、製造生産のプロセス、流通、消費後の廃棄までを意識し、購入・消費することが重要です。

エシカル消費を心がけると世界はどう変わっていくのか

2015年、国連サミットに参加した150を超える国と地域は、地球上の誰一人として取り残さないことを誓って、「持続可能な開発目標(SDGs)」を採択しました。

SDGsは、持続可能な世界を実現するための17のゴールから構成されています<図4>。そのうちの12番目のゴールが「つくる責任・つかう責任」、すなわちエシカル消費です。
消費者がエシカル消費を意識すると、世界はどのように変わっていくのでしょうか。いくつかの例をあげてみます。

 

家庭で使うエネルギーは、世界全体のエネルギー消費の29%、CO2排出量は21%を占めています。

世界中の人が省エネ型電球に替えると、毎年1200億米ドルの節約になると予測され、CO2排出量を減らすことができます。ちなみに省エネタイプの電球型LEDランプは、一般電球と比べて消費電力を約85%抑えることができるといわれています。

 

世界では、約10億人が電気のない生活を送っています。また約30億人が、薪、木炭、糞など、クリーンではない燃料を使って調理をしています。

消費者が自然エネルギーを積極的に利用するようになれば、技術開発が進み、よりクリーンで効率的なシステムへの移行が加速し、途上国のインフラ整備の支援につながります。

 

コーヒー、お茶、チョコレート、コットン、スポーツのボール、切り花。こうした商品の主要生産国である途上国では、正当な対価が支払われなかったり、生産性を上げるために農薬が過剰に使われたり、児童労働が行われるなど、多くの問題が山積しています。

消費者が不適切な方法でつくられた製品を避け、公正に取引されたものを積極的に購入・消費するようになれば、途上国の貧困や飢餓の解消、労働者の自立を促し、子どもたちに教育の機会を提供できるようになります。このように途上国で生産された原料や製品を公正な価格で購入することを、「フェアトレード」といいます。

 

日本では、食べ残したり、賞味期限を過ぎて腐らせてしまうといった理由で年間640万tもの食品が捨てられ、ごみとして焼却されています。これは、世界が途上国などに援助している食糧の約2倍に当たります。私たちが食料廃棄を減らすように心がければ、ごみ問題を改善し、焼却時に出るCO2を抑えることもできます。

また、日本で販売されている食料の6割以上は、途上国をはじめとする海外からの輸入品です。食品を無駄にせず食べ切るということは、生産や流通過程で使われた国々のエネルギーを節約することにつながります。

 

図4 持続可能な開発目標(SDGs)

*図出典/国連広報センター
https://www.unic.or.jp/files/sdg_logo_ja_2.pdf

エシカル先進国、イギリスとノルウェーの取り組み

ヨーロッパ各国では、エシカル消費の先進的な取り組みが行なわれています。そのなかから、エシカル消費の発祥地イギリスと、消費者教育が充実しているノルウェーの様子を紹介しましょう。

発祥地イギリスは法律を整備。日本企業も対象に

「エシカル消費」という言葉や概念は、1989年にイギリスで創刊された雑誌『エシカル・コンシューマー(Ethical Consumers)』から生まれたといわれています。1998年には、「エシカル・トレーディング・イニシアチブ」というエシカルビジネスの協会が発足するなど、イギリスはエシカル消費の発祥地であり、世界をリードする先進国です。

2013年の調査によると、イギリスのエシカル消費関連の商品市場は780億ポンド(約12兆円)で、これはイギリスの年間総支出額の約5%に相当します。調査が始まった1999年と比べると、約6倍に拡大したことになります。

また、現在イギリスの市場に出回っている紅茶の約80%、粉コーヒーの50~60%、チョコレートの約50%、バナナの約33%は、持続可能な商品であることを証明する第三者認証を受けています(第三者認証については後述)。こうしたことからもエシカル消費が市場の主流となりつつあることが見て取れます。

2015年には、現代の奴隷制を防止する「現代奴隷法」が制定されました。同法は、製造供給過程において強制労働や人身取引がないことを企業が確認し、「奴隷と人身取引に関する声明」を自社のウェブサイトで公開することを義務付けています。適用対象は、英国で活動し、世界での売上高が3600万ポンド(約50億円)以上の企業となっており、英国法人をもつ日本企業も多く含まれています。当該企業のウェブサイトでは、「英国現代奴隷法に関する声明」が公開されています。それらの声明内容を精査し、動向を注視していくことは、私たち消費者の責任でもあります。

ノルウェーの子どもは学校でエシカル消費を学ぶ

北欧には消費者教育の長い歴史があります。デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの北欧5か国は、1950年代から消費者政策に関する協力体制をとっており、1995年には、学校教育における行動計画である「北欧諸国における消費者教育:学校での消費者教育の目標」を策定しました。そして2010年の改訂版で、重要な教育目標の一つに「持続可能な消費」を掲げています。

このような伝統の下、ノルウェーでは学校教育のなかで環境、人権、消費、家計といったテーマを取り上げ、知識と実践の両面から学ぶ仕組みができあがっています。その一例を、欧州委員会とノルウェー政府の支援によって設立された消費者教育に関するネットワーク組織「CCN(Consumer Citizenship Network)」の代表、ビクトリア・トーレセン氏(当時)が、2010年に日本弁護士連合会が主催した講演で話された内容をもとに紹介しましょう。

ある学校の子どもたちが、授業で「人間の尊厳」について学びました。彼らの町には洋服工場があったので、自分たちがいつも着ている洋服がそこでどのようにつくられているかを調べたところ、ロシア産のコットンが使われていることがわかりました。子どもたちはさっそくインターネットを使って産地の子どもたちと連絡をとり、いろいろな話をしました。そうして、そこに住む子どもたちの約半数が、コットンに散布する殺虫剤の影響でガンなど深刻な病気にかかっていることを知ったのです。

子どもたちは工場に行き、「他の子どもを病気にする洋服は着たくない」と訴えました。工場側はこの訴えを真剣に受け止め、子どもたちと協力して新しい原材料の仕入れ先を探し、殺虫剤を使わずに生産された別の材料を使って洋服をつくるようになりました。

これ以降、学校では子どもたちを「未来を変える人」と呼び、子どもたちは「自分たちにも何かができる」という確信と自信を持つようになったといいます。

日本でも全国的な広がりが見えてきた

日本で「エシカル」という語が登場しはじめたのは、2009年ごろからです。その後、2011年の東日本大震災を機に災害ボランティアや復興ボランティア、シェア、被災地の商品を積極的に購入する応援消費や、寄付付き商品の購入など、「他者のために」という利他の価値観が浸透してきたこともあり、エシカル消費への関心が高まっています。

2016年に消費者庁が行ったアンケート調査によると、28.4%の人が「エシカルな商品やサービスを購入したことがあり、今後も購入したい」と答えています。また、「これまでに購入したことはないが、今後は購入したい」と答えた人は33.4%おり<図5>、消費者として社会問題の解決に少しでも貢献したいという意識を持つ人が増えていることが伺えます。

この項では、日本の国、地方自治体、企業、市民、それぞれの取り組みを紹介します。

図5 エシカルな商品・サービスの購入状況と購入意欲

*図出典/「倫理的消費」調査研究会 取りまとめ~あなたの消費が世界の未来を変える~
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/consumer_education/ethical_study_group/pdf/region_index13_170419_0002.pdf

国:高等学校における消費者教育を実施

2015年、消費者庁は「『倫理的消費』調査研究会」を開催し、環境、教育、社会貢献、消費者問題などのさまざまな分野の専門家を集め、2年をかけてエシカル消費を普及させるための課題や対応などについての検討を行いました。

それを踏まえて始まったのが、高等学校における消費者教育です。関係省庁が協力して作成した教材『社会の扉』を、2017年度から実証フィールドである徳島県内のすべての高等学校など56校に配布し、実際に授業を実施してもらい、その教育効果に関する調査を継続的に行っています。調査によれば、授業を受けた後には、消費生活に関する知識や消費者としての意識が大幅に向上するという結果が出ています<図6>。

国では2020年度までに、すべての都道府県の高等学校で『社会の扉』を教材とした授業を実施する予定にしています。

また、消費者庁では各地の自治体と協力して、エシカル消費に関する情報を幅広く提供する「エシカル・ラボ」を開催し、シンポジウム、ワークショップ、物販などを通して、エシカル消費の普及と啓発を行っています。

図6 授業の前と後の正答数の比較

*図出典/消費者庁「平成29年度徳島県における『社会の扉』を活用した授業の実施効果に関するアンケート調査の結果について
https://www.caa.go.jp/future/project/project_003/pdf/project_003_180904_0001.pdf

地方自治体:徳島県では高校生が集ってフェスを開催

徳島県は、日本ではじめてのエシカル消費に関する条例、「徳島県消費者市民社会の構築に関する条例」(通称「エシカル消費条例」)を2018年に全会一致で可決、施行しました。本条例は前文で、「夢や希望に満ちあふれた活力ある徳島県として成長していくため、さらには地球規模での気候変動や世界平和、経済成長などの課題を解決するためには、人権、地産地消、環境等に配慮した商品やサービスを選択する消費行動が求められている」と謳っています。

県では、実際に食することを通してエシカル消費を体験する「エシカル教室」をショッピングモールで開催したり、県内でエシカル消費に取り組む団体に「エシカル消費自主宣言」をウェブサイトで発信してもらうなど、市民、企業、団体などと一体となって多様な活動を展開しています。

若者たちの活動が活発な点も特徴です。2018年7月、徳島県をはじめエシカル消費に積極的な自治体の8つの高校が集い、「次世代エシカル・フェス」を開催しました。このフェスでは各校が行っている活動を紹介したり、グループワークで意見交換をするなど、高校生たちが活発な交流が行われました。

企業:それぞれの業種の特性を生かした取り組み

「つくる責任」を負っている企業もさまざまな角度からエシカルに取り組んでいます。

2018年版の「環境白書」によれば、ある大手スーパーでは1993年から独自の品質管理基準を設け、健康や環境に配慮した農産物の生産と提供を行っています。水産物についても第三者認証を取得した商品を販売しているほか、紙、木材、パーム油など幅広い商品においても持続可能な調達目標を設定しています。

また、世界展開しているあるコーヒーチェーン店では、ペーパーカップや紙ナプキンをはじめとする紙製品のすべてに、第三者認証を取得した再生紙を使用しています。使用済みの牛乳パックや豆乳パックは廃棄せずに回収し、一部をペーパーナプキンに再生して店舗でふたたび使うという「循環型リサイクル」の仕組みを確立しています。

徳島県のある企業は、本来なら廃棄されるものを活かす「リボーン:Reborn」に取り組み、県特産のすだちの果皮やゆずの皮を使った飴を商品化し、販売しています。

行政・企業・商店・市民が協力して取り組んでいる熊本市

前にも述べたように、途上国で生産された生産物を公正な価格で購入・販売することを通して、生産者の自立や生活を支援することを「フェアトレード」といいます。このフェアトレードを町ぐるみで推進し、根付かせていこうというのが「フェアトレードタウン運動」です。同運動は2000年にイギリスではじまり、以後、世界中に広がっています。

フェアトレードタウンの認定を得るには、支持層の広がり、地域への浸透、地域活性化への貢献、地域の商業施設によるフェアトレード産品の幅広い提供、そして地元議会による決議と自治体首長の支持表明など、一定の基準を満たすことが求められています。まさに行政、企業、商店、さまざまな団体、市民が一致協力して行う取り組みです。

2011年6月、フェアトレードタウンに認定された町の数が世界で1000の大台に達しました。その記念すべき1000番目、そして日本初・アジア初のフェアトレードタウンに認定されたのが、熊本市です。

熊本市では1990年代からフェアトレードへの取り組みが始まり、途上国の生産者を招いたセミナー、フェアトレードファッションショーの開催、学校への出前授業などを行ってきました。そして認定後も、2014年の第8回フェアトレードタウン国際会議の開催、生産者展示ブースを設けた国際フェアの実施など、官民一体となって精力的な活動をつづけています。

また熊本市は、他都市の認定取得の支援にも力を入れています。その結果、2015年には愛知県名古屋市、2016年には神奈川県逗子市がそれぞれフェアトレードタウンに認定されました。現在も国内の多くの都市が認定に向けて取り組んでおり、全国的な広がりが見え始めています。

2020年東京オリンピック・パラリンピックの柱も「エシカル」

スポーツの世界でも近年は、「持続可能性」「エシカル」が重要な運営方針のひとつになっています。

2020年には東京オリンピック・パラリンピック(以下「東京大会」)が開催されますが、東京大会も、準備の工事から期間中の大会運営にいたるまで、すべての段階で「持続可能な生産と消費」を柱としています。具体的には、気候変動、資源、大気や水、生物の多様性、人権や労働などを主要テーマとし、温室効果ガスの排出削減、廃棄物の発生抑制、持続可能性に配慮した物品やサービスの調達を推進しています。

オリンピックの運営で「持続可能性」が重視されるようになったのは、2012年のロンドン大会が大きな契機でしたが、同大会以降、大会会場では持続可能性に関する第三者認証を取得した木材、食材を使用するのがスタンダードです。東京大会でも、輸送などによる温室効果ガスの排出を抑制するために、国産品を優先して使用することが推奨されています。このオリンピックを機に、国内のさまざまな事業者が第三者認証を積極的に取得することや、消費者が認証品への理解を深めてエシカル消費に取り組むことにより、日本全体にエシカル消費を拡大、浸透させていくことが期待されています。

だれでも今すぐにできるエシカル消費

エシカル消費は、消費者である私たち一人ひとりが今すぐに実践できる社会貢献です。

商品を購入するときには、例えば以下に紹介する6つのキーワードをもとに選ぶように心がけると、エシカル消費につながります。

環境
  • リサイクル素材を使ったもの、省エネ製品を購入する
  • 食品は、必要なものを、必要なときに、必要な量だけ購入する
  • 買い物にはマイバッグを持って行く
社会
  • フェアトレード商品を購入する
  • 寄付付き商品を購入する
  • 障がい者を支援するために、福祉施設などでつくられた製品を購入する
地域
  • 地元でつくられた農産物などを購入する(地産地消)
  • 被災地でつくられた製品を購入する(被災地支援)
生物多様性
  • 環境を守り、資源を使いつくさないように配慮された水産物や木材などを購入す
    (次の「認証ラベル・マーク」の項も参考にしてください)
認証ラベル・マーク

認証ラベル・マークとは、その商品が持続可能性に関する一定の基準を満たしていると第三者機関によって認められていることを示すものです。以下に認証ラベル・マークの一部を紹介します。このようなラベル・マークのついた商品を購入することも、エシカル消費を実践する一つの方法です。

【エコマーク】

生産から廃棄にわたる全体を通して、環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられるマークです。

問い合わせ:https://www.ecomark.jp/

【国際フェアトレード認証】

フェアトレードは、開発途上国の生産者へより公正な貿易条件と機会を提供し、生産者が自らの力で地域社 会や生産環境を改善し持続可能な未来を切り開くことに繋がります。

問い合わせ:https://www.fairtrade-jp.org/

【MSC認証】

持続可能で環境に配慮した漁業によって獲られた水産物であることを証明するラベルが、MSC「海のエコラベル」です。


問い合わせ:https://www.msc.org/jp/contact

【FSC®認証】

動植物や地域の人々に配慮し、将来も豊かな森を維持できるように管理された森林の木材が使われていることを証明するラベルです。

問い合わせ:https://jp.fsc.org/jp-jp/web-page-/123622183912356215121243112379

【GOTS(オーガニック・テキスタイル世界基準)】

有機栽培の原料を使用し、繊維の収穫から加工、製造、流通にいたるすべての過程で環境や社会に配慮した方法が実行され、一般製品との混合や汚染がないように管理されていることを証明するマークです。

問い合わせ:https://www.global-standard.org/contact.html

私たちは「消費者市民社会」の主人公

現代社会は、消費をめぐる多くの問題を抱えています。そういう社会に生きる私たちは、企業が提供する商品やサービスの単なる受け手になることなく、消費行動が自己の欲求を満たす個人的なものではなく社会的な営みであるということをしっかりと認識することが必要です。

貧困や飢餓や差別で苦しんでいる人々、将来を担う子どもたち、そして動物や自然、地球のことを思いやり、消費行動を通じて持続可能な社会をつくっていく。このような社会を「消費者市民社会」といいます。

私たちは皆、消費者市民社会の主人公です。適切な商品やサービスを購入・消費することを通して、世界をより良いものへと変え、未来の子どもたちに豊かで美しい地球を手渡したいものです。

参照・引用を見る
  1. 消費者庁/「エシカル消費とは」
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/consumer_education/ethical_study_group/pdf/region_index13_170419_0003.pdf
  2. 環境省/資料「グリーンディール関連の動向」(各資源の可採年数)
    https://www.env.go.jp/council/02policy/y020-57/mat01_3-2.pdf
  3. 全国地球温暖化防止活動推進センター
    https://www.jccca.org/home_section/homesection01.html
  4. WWFジャパン/地球温暖化が進むとどうなる?
    https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/1028.html
  5. 気象庁/「世界の年平均気温偏差の経年変化(1891〜2018年)」
    https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html
  6. 国立環境研究所/「2017年度(平成29年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について」
    http://www.nies.go.jp/whatsnew/jqjm1000000gizf4-att/jqjm1000000gj00f.pdf
  7. 国立環境研究所/「日本の部門別二酸化炭素排出量(2017年度)」
    https://www.jccca.org/chart/chart04_04.html
  8. 国際労働機関/「児童労働」
    https://www.ilo.org/tokyo/areas-of-work/child-labour/lang–ja/index.htm
  9. WWFジャパン/「使ってもいいの?暮らしの中のパーム油」
    https://www.wwf.or.jp/activities/lib/pdf_forest/rspo/WWF_Palmoil_2012.pdf
  10. 熱帯林行動ネットワーク/「パーム油調達ガイド」
    http://palmoilguide.info/about_palm
  11. 3R推進協議会
    http://www.3r-suishinkyogikai.jp/intro/3rs/
  12. 国立環境研究所「知ってほしい、リサイクルとごみのこと」
    https://www.nies.go.jp/taiwa/jqjm1000000c2yf8.html
  13. 国連広報センター
    https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/
    https://www.unic.or.jp/news_press/info/24453/
    https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_report/
  14. 環境省/「COOL CHOICE」
    https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/akari/archives/160707_3.html
  15. フェアトレード・ラベル・ジャパン
    https://www.fairtrade-jp.org/about_fairtrade/
  16. 内閣府/「倫理的消費」調査研究会 中間取りまとめ H28年
    https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2016/229/doc/20160726_shiryou5_2.pdf
  17. Ethical Consumers
    https://www.ethicalconsumer.org/
  18. 消費者庁/平成25年版消費者白書コラム「消費者市民社会」
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2013/honbun_13_column.html
  19. 文部科学省/海外調査報告書「フィンランドにおける消費者教育」
    http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/06/28/1306754_12.pdf
  20. 日本弁護士連合会/「ビクトリア・トーレセン氏講演会 ―トーレセンさん、消費者市民社会と教育を語る―」報告書
    https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/committee/list/data/shiyouhisyakiyouiku6.pdf
  21. 消費者庁/「エシカル消費」普及・啓発資料
    http://www.env.go.jp/water/marirne_litter/conf/03_02shohisyachou.pdf
  22. 「倫理的消費」調査研究会/取りまとめ~あなたの消費が世界の未来を変える~
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/consumer_education/ethical_study_group/pdf/region_index13_170419_0002.pdf
  23. 消費者庁/「社会への扉 ―12のクイズで学ぶ自立した消費者―」
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/teaching_material/material_010/
  24. 消費者庁/「若年者向け消費者教育の取組について」
    https://www.caa.go.jp/future/project/project_003/
  25. 消費者庁/平成29年度徳島県における「社会の扉」を活用した授業の実施効果に関するアンケート調査の結果について
    https://www.caa.go.jp/future/project/project_003/pdf/project_003_180904_0001.pdf
  26. 徳島県議会/「徳島県消費者市民社会の構築に関する条例」
    https://www.pref.tokushima.lg.jp/gikai/honkaigi/jyorei/5022298
  27. 徳島県/「倫理的消費(エシカル消費)の普及」プロジェクト(平成30年度)
    https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/kurashi/shohiseikatsu/5027726/
  28. 徳島県/「次世代エシカル・フェス」を開催しました
    https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/kurashi/shohiseikatsu/5025833/
  29. 消費者庁/消費者行政新未来創造オフィス フォトレポート
    https://www.caa.go.jp/future/topics/photo/2018/
  30. 消費者庁/「倫理的消費(エシカル消費)」普及・啓発活動
    https://www.caa.go.jp/future/project/project_004/
  31. 一般社団法人フェアトレードフォーラムジャパン/フェアトレードタウン基準
    https://fairtrade-forum-japan.org/fairtradetown/standard
  32. フェアトレードシティくまもと推進委員会
    http://fairtrade-kumamoto.com/
  33. 「フェアトレードタウン運動―その意義と課題―」~東京経済大学・現代法学第21号~ 渡辺龍也(東京経済大学 現代法学部教授)
    http://repository.tku.ac.jp/dspace/bitstream/11150/430/1/genhou21-06.pdf
  34. 環境省/環境白書H30年版 持続可能な消費行動への転換
    http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h30/html/hj18010302.html
  35. 消費者庁/「エシカル消費ってなぁに?」
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/ethical/pdf/ethical_180409_0001.pdf
  36. 東京くらしWEB/エシカル消費
    https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/manabitai/ethical/start1.html
  37. 日本サステナブル・ラベル協会/「サステナブル・ラベルってなに?」
    https://jsl.life/about/faq/
  38. 消費者庁/平成25年版消費者白書 コラム「消費者市民社会」
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2013/honbun_13_column.html
  39. 消費者庁/平成25年版消費者白書 コラム「消費者教育の推進」
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2013/honbun_12_column.html