自然エネルギーの推進が不可欠! パリ協定が目指すものとは

自然エネルギーの推進が不可欠! パリ協定が目指すものとは
パリ協定がわたしたちに及ぼす影響

2015年に採択されたパリ協定は、歴史的に重要で画期的なものだと言われています。それはなぜでしょうか。そもそもパリ協定は何を目指しているのでしょう。そして、パリ協定において自然エネルギーの果たす役割とは・・・?

 

パリ協定の採択と発効

パリ協定は、京都議定書の後継として、2015年12月にパリで開催された「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議」において合意されました。
この「国連気候変動枠組条約提携国会議(COP)」(以下、「COP」)とは、温室効果ガス削減に関する国際的な取り決めを話し合う会議で、1992年に国連において採択された「国連気候変動枠組条約」(United Nations Framework Convention on Climate Change)に基づき、1995年から毎年開催されています 1) 。

図1 パリ協定採択直後の様子
出典:国際連合HP ‘United Nations Framework Convention on Climate Change’
https://unfccc.int/

パリ協定のような取り決めは、合意後に発効するための条件が設けられます。パリ協定では、以下の2つが発効条件でした 2)。

●55カ国以上が参加すること
●世界の温室効果ガス総排出量のうち、55%以上をカバーする国が批准すること

当初はこのような厳しい条件を満たすためには時間がかかると予想する専門家が多かったのですが、実際には合意から1年にも満たない2016年11月4日に発効に漕ぎつけることができました。これは、世界各国が地球温暖化に対して高い関心を抱いていることの現れとも言えるでしょう。

この結果、パリ協定には2017年8月時点で、主要排出国を含む159カ国・地域が参加し、締結国だけで世界の温室効果ガス排出量の86%をカバーするものになりました 2) 。

 

パリ協定の長期目標と枠組み:なぜ「歴史的に重要で画期的」なのか

冒頭でもふれたとおり、パリ協定は「歴史的に重要で画期的」だといわれます。
なぜそういわれるのか、その理由を探ってみましょう。

~パリ協定の長期目標~
理由は2つあります。
まず、ひとつめの理由は、その長期目標です。

パリ協定の長期目標は、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること」 3) です。そのため、「今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と吸収源による除去の均衡を達成するために、最新の科学に従って早期の削減を行うことを目的とする」 3) としています。
つまり、21世紀後半には、温室効果ガスの排出量と森林などによる吸収量のバランスをとる、ということです。これは、21世紀後半までに実質的に温室効果ガスの排出をゼロにするということを意味します。それまでこのような高い目標が掲げられたことはありませんでした。

では、なぜこのような目標が必要なのでしょうか。

この数十年、地球温暖化による気候変動が厳しさを増しています。その影響で、自然災害の増加をはじめ、人間の生活にも自然の生態系にもさまざまな悪影響がもたらされています。

図2 世界平均地上気温(陸域+海上)の偏値の推移
出典:環境省(2014)「IPCC第5次評価報告書の概要―第1作業部会(自然科学的根拠)」p.10
https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg1_overview_presentation.pdf

図2は、1880年から2012年の間の世界平均気温(陸域+海上)の気温上昇の推移を表しています。
気温変動に関する政府間パネル(以下「IPCC」)の第5次評価報告書(2013年~2014年)によると、図2のように、世界平均地上気温は1880年から2012年の132年間で0.85℃上昇しました。特に最近30年間の気温上昇は激しく、この期間中の各10年間はいずれも、それに先行する10年間に比較して、上昇率が著しいことがわかります。

IPCC同報告書は、こうした気温上昇はCO2の累積濃度とほぼ比例しているという新見解を発表しました 4)。
下の図3は、世界の累積総CO2量と世界平均気温上昇量の相関関係を表しています。

図3 さまざまな一連の証拠による、世界の累積総CO2量と世界平均気温上昇量
出典:環境省(2014)「IPCC第5次評価報告書の概要―第1作業部会(自然科学的根拠)」p.53
https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg1_overview_presentation.pdf

現在の大気中CO2濃度は、産業革命前に比べて40%増加しました。それは、産業革命以来、石油や石炭などの化石燃料を燃やし、エネルギーを得ることによって工業化を進めてきた結果です。

図4 GOSATによる世界のCO2濃度分布観測結果
出典:環境省HP(2017)「地球温暖化の現状」(原初データの提供:JAXA/NIES/MOE)
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/ondanka/

図4は、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)によるCO2濃度分布の観測結果を表しています。この図からもCO2濃度の上昇がはっきり見て取れます。