‘3番目のR’ 「リサイクル」の意義とこれから

‘3番目のR’ 「リサイクル」の意義とこれから

今や小学校の教科書にも載っている‘3R’。その3番目の‘R’が「リサイクル」です。
リサイクルの意義は、「なぜ3番目なのか」という問いに対する答えからみえてきます。

では、その答えとは? 現在の取り組みは? そして、よりよいリサイクルのためには・・・・・・?

リサイクルとは
循環型社会

引っ越しの際に気になることのひとつに「ごみ出し」があります。

ごみ置き場はどこか、分別はどうするのか、いつどんなごみを出せばいいのか、ごみ袋は何種類で、どこに売っているのか、袋に名前を書く必要があるかどうか・・・・・・、段ボールはどうする? 粗大ごみは? 家電は? ・・・・・・などと、考え出したら止まりません。

しかも、ごみは、引っ越したその瞬間からも新たに発生するのです。

思えば、私たち人間は生きている限りごみを出し続ける存在です。
そのごみとどう向き合っていくのか、それは私たち個人の問題であると同時に、社会の問題でもあり、さらに地球規模の問題でもあります。

下の図1を見てください。この図は循環型社会を表しています。

図1 「循環型社会」

出典:環境省HP「3Rまなびあいブック 大人向け(2015年改訂版)」p.5
https://www.env.go.jp/recycle/yoki/b_2_book/pdf/otona/00_3r_manabiaibook_otona.pdf

 

循環型社会とは何でしょうか。

それは、図1の左上にあるように、「適正な3Rと処分により、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができるかぎり低減される社会」のことです *1-p.5。
それがどのようなことなのか、この図で具体的に見ていきましょう。

まず、循環の始まりは、図の左上の「天然資源の投入」です。2つめは「生産(製造・運搬等)」で、時計回りに見ていくと、3つめは「消費」になります。
つまり、天然資源を使って製品を作り、その製品を店舗などに運搬して、消費者がそれを消費するという流れです。

「消費」の次は「廃棄」ですが、そこから矢印が2方向に分かれていますね。
ひとつは、それまでと同じ時計回りの矢印で、その先は、「処理」です。
もうひとつは、これまでとは逆に左回りに上方に向かっていく矢印で、すぐ上の「消費」に戻るものと、さらにそのひとつ上の「生産」に戻るものがあります。

もう一度、「処理(リサイクル、焼却等)に目を戻しましょう。そこから下向きの矢印をたどると、「最終処分(埋め立て)」に行きつき、そこで行き止まりになります。

でも、「処理」からもう1本、矢印が伸びていますね。
その矢印は、ぐるっと時計回りに半円を描いて、「生産」に戻っています。

循環型社会では、「資源が循環している」ことがわかりますね。

‘3R’とは

こうした循環型社会を構築する際にキーワードとなるのが‘3R’(スリーアール)です *1-p.4。
3Rとは、「① Reduce(以下、「リデュース」):発生抑制、② Reuse(以下、「リユース」):再使用、③ Recycle(以下、「リサイクル」):再生利用」の3つの頭文字をとったもの」です *1-p.4。

もう一度、図1を見てみましょう。今度は「吹き出し」に注意してみてください。

「生産」の前に吹き出し「1番目 リデュース」がありますね。「リデュース」とは、無駄な買い物はせず、同じものを長く使ったり、使い捨てをやめたりして *2、「そもそもの使用量を少なくすること」*3 です。そうすることによって、必要以上の消費や生産を抑制することができます。

次に、「2番目 リユース」とは、「一度使用したものを、製品や部品として再使用すること」です *3。

図1でリユースの矢印が「消費」に向かっているのは、使用した製品をそのままもう一度、使う場合です。例えば、いらなくなったものを必要な人に譲ったり、牛乳びんやビールびんなどを洗浄して何回も使い回す場合ですね。

リユースの矢印がさらにもうひとつ上の「生産」に向かっているのは、使用ずみの製品やその部品を、別の製品の部品として活用する場合です。

最後に、「3番目 リサイクル」は、「ごみを再資源化し、新しい製品の原材料として利用すること」です *3。例えば、私たちが分別して出したペットボトルやアルミ缶、スチール缶、ガラスなどは、もう一度、新しい製品に生まれ変わっています。

このように、3Rを実践すれば、資源を無駄なく循環させて、ごみを減らすことができるのです。
3Rは、環境教育の一環として、現在、小学校の社会科や家庭科の学習項目にもなっています *4。

図1には、もう2つ吹き出しがありますね。
「4番目 熱処理」と、「5番目 適正処分」です。
これらについては、後ほど詳しくお話ししたいと思います。

ちなみに、最近は、「Rot」(生ごみをコンポスト(たい肥)にして、土に返すこと) *2 や「Refuse」(ごみになるようなものを受け取らない)、「Repair」(ものを修繕して長く使う) などを3Rに付け加え、「4R、5R、6R・・・」と言うこともあります *5。

「3番目」の意味

日本は循環型社会を目指し、2000年に「循環型社会形成推進基本法」を制定しました。*6
この法律では、ごみ処理の「優先順位」を初めて法定化しました *7。

その順番とは、先ほど図1で見た、「① リデュース、② リユース、③ リサイクル、④ 熱回収、⑤ 適正処分」の順です *7。これは、環境にやさしい順番です。

なお、④ の熱回収は「サーマルリサイクル(Thermal Recycle)」とも呼ばれ、ごみを焼却処分する際に、熱や蒸気などとして回収することです *3。

日本では、2017年に、ごみ焼却のうち約68%が熱回収されました  *8-p.9。回収した熱や蒸気は、発電や施設の暖房、周辺施設への温水供給などに使われています *3。
この熱回収は、焼却するときの熱量をエネルギーとして利用するので、ただ焼却するよりは有意義だといえますが、焼却する際にはCO2が排出されるため、環境に負荷がかかります。

リサイクルはその負荷を軽減するためにも必要なのです。

次の図2は、2013年の日本の総CO2排出量と廃棄物分野(ごみ焼却)によるCO2排出量を表しています。

図2 日本の総CO2排出量と廃棄物分野(ごみ焼却)によるCO2排出量

出典:経済産業省HP(2013)環境省 廃棄物・リサイクル対策部「中央環境審議会地球環境部会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会 合同会合(第37回)廃棄物分野における地球温暖化対策」
https://www.meti.go.jp/committee/summary/0004000/pdf/037_03_00.pdf

リサイクルの意義

以上のように、リサイクルの意義は、消費した製品を資源として再利用することです。

リサイクルをすることによって、はじめから新しい物を作つくるよりも、缶類は95%以上、プラスチックは90%、紙は40%、ガラスは30%のエネルギーが節約できます *2。

たとえば、アルミ缶をひとつリサイクルすると、テレビが3時間観られるほどのエネルギーが節約できますし、1トンの紙をリサイクルすると、紙の原料である木を17本も切らずにすむという報告もあります *2。

リサイクルの種類と各種リサイクル法

リサイクルの対象物はさまざまです。
それぞれのリサイクルを推進するために、これまでいくつもの法律が制定されました。

その中で、分別ルールに従ってごみを分別し、資源として活用するという取り組みが法的に始まったのは、1995年に制定された「容器包装リサイクル法」です *1-p4-5。

次の図3は、日本のリサイクル法とそれぞれの目標をまとめたものです。
また、図4は容器包装のリサイクル率および回収率の2020年までの目標を表しています。

図3 日本のリサイクル法と目標

出典:環境省HP「プラスチックを取り巻く国内外の状況 <第3回資料集>」p.46
https://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-03/y031203-s1r.pdf

図4 容器包装のリサイクル率と回収率の目標

出典:環境省HP「プラスチックを取り巻く国内外の状況 <第3回資料集>」p.47
https://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-03/y031203-s1r.pdf

海外におけるリサイクルの取り組み

ここでは、海外のリサイクルの取り組みを2つ紹介します。

スウェーデンの取り組み

まず、スウェーデンから。

スウェーデンの首都ストックホルムにはハンマビーショースタッドというエコシティ地区があります。このエコシティでは、燃えるごみで暖房用のお湯を沸かしたり、発電してその電気を町で使ったりしています。

また、下水処理をした後の汚泥を発酵させてバイオガスを作り、台所のガスレンジに使ったり、市バスの燃料に使ったりもしています *9。

下の図5は、エコシティの景観、図6は生ごみと燃えるごみを入れる「ごみ収集バキュームシステム」の入口です。

   

      図5 エコシティの景観      図6 「ごみ収集バキュームシステム」の入口

出典(図5-9):一般社団法人産業環境管理協会
リサイクル促進センターHP「世界のごみ、リサイクル 
スウェーデン」
http://www.cjc.or.jp/study/world_recycle.html

  

 図7 ごみ収集バキュームシステム                   図8 下水処理場とバイオガス生産工場

 

上の図7はごみ収集バキュームシステムを、図8は下水処理場とバイオガス生産工場の様子を表しています。

また、下の図9はバイオガスで走るバスです。

スウェーデンでは、子供たちへの環境教育にも力を入れています。

学校の一般教科には「環境」という科目はありませんが、生物、国語、算数、社会、体育、家庭科など、すべての科目で環境について学びます *9。

ドイツ(ハノーファ市)の取り組み

次に、ドイツの取り組みです。

ハノーファ市には、リサイクルのためのごみ回収所「リサイクリングホフ」が設置されています。
リサイクリングホフには、ごみの種類別に大きなコンテナーが置いてあり、電池、廃材プラスチック、木の枝、紙などを回収しています *10。

市民はリサイクル用のごみを無料で持ち込むことができますが、企業からのごみは有料です *10。


図10 リサイクリングホフ

出典(図9-11):一般社団人産業環境管理協会 リサイクル促進センターHP「世界のごみ、リサイクル」
http://www.cjc.or.jp/study/world_recycle.html

ハノーファー市では、ごみ処理は有料です。住民は1家庭につき、年間、2~2,5000円ほどのごみ処理費を払っています *10。自分で出したごみは自分で責任をもつ、というわけですね。
容器包装(ガラス、紙、プラスチックなど)など商品の入れ物は、商品を売る人たちの責任で、分別され、リサイクルされます *10。

ドイツでは一部の飲み物容器に対して、デポジット制度が導入されています。
この制度は、商品の値段に容器代(保証金)を上乗せして売り、消費者が使用済みの容器を返却した際にその保証金が返却されるというシステムで、使用済み容器の回収を促進するためのものです *10。

日本でもビールびんなどに導入されていますね。
ドイツでは、ペットボトルもデポジット制の対象です。

下の図11は、ドイツのペットボトル回収機です。

図11  ドイツのペットボトル回収機

 日本におけるリサイクルの取り組み

ここでは、日本の取り組みをみていきましょう。

3R学習支援ウェブサイト

現在は小学校で環境教育が行われていることは先ほどお話ししましたが、3R学習支援のウェブサイトも開設されています。

このサイトでは、3Rに関する説明や理解を促すためのワークシートや教材などがダウンロードできるほか、リサイクルに関する最新のデータも載っています *11。

各地域の取り組み

次に、環境省のホームページで紹介されている取り組みを2つ紹介したいと思います *12。
まず、長野県安曇野市のNPOの取り組みです *13。

このNPOは、小中学校の牛乳パック回収で得た資金を元に、1991年からネパールで苗を作り、植林を続けています。15枚の牛乳パックで、1本の在来種の苗ができるそうです。現在では790ヘクタールの範囲に、516,000本の木による森ができました。
それにともなって湧水が増え、きれいな水が飲めるようになったため、現地の子供たちの健康状態もよくなりました。

現在、長野県内の農業高校や大学農学部などで学んだ青年が中心になって、現地で育苗、植樹、除伐、水やり、貯水タンクや石垣、林道の建設をしています。

以下の図12は植林前の現地の様子、図13は現在の様子です。

 

図12 砂漠化した以前の様子                  図13  緑化した現在の様子
出典(図12・13):NPOカマンドゥHP
http://www6.plala.or.jp/kathmandu/

次にご紹介するのは、北陸の社団法人の取り組みです *14。

この法人は、地元の企業や大学、住民団体や自治体と連携し、アルミ系廃棄物から水素エネルギーを取り出す研究開発をしています。また、北陸地方に適した水素エネルギー利用システムの開発にも取り組んでいます。

下の図14は、アルミ系廃棄物の種類とアルミ含有率を、図15はこの技術の概要を表しています。

図14 アルミ系廃棄物の種類とアルミ含有率

出典(図14・15):一般社団法人 北陸クリーンエネルギー研究会HP
「アルミ系廃棄物からのアルミ高効率回収技術と、北陸地方に適した水素エネルギー利用システムの開発」
http://hokuriku-green-energy.org/study


図15  アルミ系廃棄物からのアルミ高効率回収技術と水素エネルギー生成技術 

リサイクルを進めるために

最後に、よいリサイクルとは何か、リサイクルを進めるために何をすべきかを考えてみたいと思います。

ライフサイクルアセスメント(LCA)

ここでは、プラスチック製容器包装を例にみていきましょう。
まず、リサイクルとはごみを資源として再利用することでしたね。別の表現をすると、それは、製品を「途中から作ること」です。

下の図16はプラスチック製容器包装のリサイクルを表しています。

図16  プラスチック製容器包装のリサイクル

出典(図16・17):公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会HP
「リサイクル ・環境負荷 ・LCA って、なんだろ
う?」
https://www.jcpra.or.jp/Portals/0/resource/00oshirase/pdf/news_release_109_02.pdf

この図からもわかるように、リサイクルによって天然資源を節約したり、最終処分するごみを減らしたりすることができます。

また、「途中から作る」ことになるため、製品にする際のエネルギーも減らせます *15-p.1。
では、リサイクルによって環境に対する負荷がどの程度減ったか、どうすればわかるのでしょうか。

答えは、「リサイクルしなかった場合と比べる」です。

つまり、「一から作る」ときと「途中から作る」ときを比べれば、そのリサイクルの良し悪しが判断できるわけです *15-p.2。

下の図17を見てください。

図17 リサイクルによるCO2削減効果と資源消費削減評価

この図は、リサイクルによるCO2削減効果と資源消費削減評価を表しています。
グラフのバーが上に伸びていれば「環境にいい」、下に伸びていれば「環境に悪い」と評価できます。

注意しなければならないのは、図16のように、リサイクルすることでかえって多くの資源が必要になる場合があることです *15-p.2。

このように、製品の「一生」、つまり「資源を摂ることから捨てるまで」を考えて良し悪しを評価することを、「ライフサイクルアセスメント」(以下、「LCA」)と呼びます *15-p.2。

LCAは、環境負荷を調べたり比べたりするのに有効な方法ですが、世界中で統一したデータを得るのが難しいなどの問題があり、万能とはいえません。

それに、分析結果をみて、例えば、「温室効果ガスの影響」と「資源がなくなること」のどちらの方をより重視するかなど、 評価が難しい場合もあります *15-p.4。

これらのことを認識した上で、LCAを有効活用することがよりよいリサイクルにつながるでしょう。

リサイクル状況

リサイクルのためには、ごみの分別が必要です。
では、全国の市町村のごみ分別収集は、どのような状況でしょうか。

以下の図18は、全国の市町村のうち、ごみの分別収集をしている市町村の割合を表しています。

 図18  全市町村に対する分別収集実施市町村の割合の推移

出典:経済産業省HP(2016)「容器包装リサイクル制度を取り巻く現状と今後の検討の方向性」p.5
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/haikibutsu_recycle/yoki_wg/pdf/019_s02_00.pdf

図18をみると、プラスチック製容器包装の中の白色トレイと紙製容器包装の回収を実施している市町村がまだ少ないことがわかりますね 。

次に、リサイクルがどの程度、進んでいるのか、みてみましょう。
下の図19は、日本の総資源化量とリサイクル率の推移を表しています。

この図をみると、リサイクル率は約20%で、横ばい状態であることがわかります。


図19  日本の総資源化量とリサイクル率の推移

 出典:環境省HP(2019)「一般廃棄物処理事業実態調査の結果(平成29年度)について」p.5
https://www.env.go.jp/press/files/jp/press/2dtgw29.pdf.pdf

では、日本では、ごみはどのように処理されているのでしょうか。


図20 処理方法別ごみの処理量の推移

出典:環境省HP(2019)「一般廃棄物処理事業実態調査の結果(平成29年度)について」p.3
https://www.env.go.jp/press/files/jp/press/2dtgw29.pdf.pdf

上の図20は処理方法別ごみの処理量の推移を表しています。
この図をみると、2017年には、ごみの総処理量の約80%が直接焼却であったことがわかります。

最後に、生活系ごみと事業系ごみの量をみてみましょう。
下の図21は、生活系ごみと事業系ごみの推移を表しています。

図21  生活系ごみ量と事業系ごみ量の推移

出典:環境省HP(2019)「一般廃棄物処理事業実態調査の結果(平成29年度)について」p.2
https://www.env.go.jp/press/files/jp/press/2dtgw29.pdf.pdf

 この図をみると、2017年には、私たち住民が出す生活系ごみが全体の約70%を占めていたことがわかります。個人の責任は重いですね。

では、今後、どのようにしてリサイクルを進めていけばいいのでしょうか。

まず、より多くの自治体がごみの分別収集に取り組むことが必要です。また、住民1人ひとりがリサイクルの意義と現状を正しく把握し、ごみの分別に協力して、焼却ごみを減らす努力をすることが求められます。

【引用・参考ウェブ・サイト】

Photo by VanveenJF