太陽光発電コストの価格推移とこれからの太陽光発電

太陽光発電コストの価格推移とこれからの太陽光発電

自然(再生可能)エネルギーで発電した電力を、電力会社が一定価格で買取る制度「固定価格買取制度(FIT制度)」が始まって以来、いたるところで太陽光発電所を目にするようになりました。

そんなFIT制度も、住宅用太陽光発電設備への適用(2009年11月開始)が始まっておよそ10年が経ち、事業用太陽光発電設備への適用(2012年7月)が始まって7年が経ちます。

その間にFIT制度の買取価格も低減し、太陽光パネルの価格も低減していますが、価格はどのように推移してきたのでしょうか。また、価格の変化はこれからどのように推移していき、私達の生活にどのような影響を与えるのでしょうか。

太陽光パネルの価格の見方

まず太陽光パネルの価格の「見方」について解説します。技術の進化により太陽光パネルの価格は年々低減してきていますが、太陽光パネルの場合、価格ではなく「発電コスト」を見ることが一般的です。

なぜならFIT制度では、1kWhあたりの買取価格が決められているため、重要なのは「太陽光パネルの値段」よりも「1kWhを発電するためのコスト」だからです。

ですので、太陽光パネルの価格を見る時は「太陽光パネル1枚あたりの価格」のみを見るよりも「発電効率」や「工事費」などを含めた「発電コスト」を見る事に意味があり、また一般的であると言って良いでしょう。

この記事でも「太陽光パネル1枚あたりの価格」ではなく「発電コスト」の推移を見ていきます。

世界の太陽光発電のコスト推移

2013年上半期には1kWhあたり15.1円だった世界の太陽光発電のコストが、2017年上半期には1kWhあたり9.1円とおよそ60%低減しています。*1_3P

図1 世界の太陽光発電のコスト推移

*出典:環境省 コストダウンの加速化について(目指すべきコスト水準と入札制)(2018)
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/008_02_00.pdf

発電コスト低減に伴う買取価格の低減

固定価格買取制度の価格は発電コストに基づき、事業者が安定して経営していけるよう設定されますが、このように発電コストが低減することで、買取価格も低減していきます。

2000年に固定価格買い取り制度を始めたドイツでは、1kWhあたりの買取価格が60.7円でしたが、2012年にはおよそ15円になり、2018年には8.3円にまで下がりました。*2_8P

図2 太陽光発電(2,000kW)の各国の価格

*出典:環境省 平成 31 年度以降の調達価格等に関する 意見(案)(2019)https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/044_02_00.pdf

 

発電コスト低減に伴う導入量の増加

発電コストが低減することで、世界中の国々で太陽光発電の導入が加速しています。特に中国では年間導入量が45GWで2位のインド(10.8GW)に4倍以上、累積導入量でも176.1GWと2位のアメリカ(62.2GW)に3倍近い差をつけています。*3_8P


図3 2018年の太陽光発電システム年間導入量及び累積導入量上位10ヶ国
*出典:新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO) 国際エネルギー機関・太陽光発電システム研究協力プログラム(IEA PVPS)報告書 世界の太陽光発電市場の導入量速報値に関する報告書 (第7版、2019年4月発行)(翻訳版)
https://www.nedo.go.jp/content/100785821.pdf

導入量増加に伴う電力需要に占める太陽光発電の割合の増加

世界中で太陽光発電の導入が増えることによって、世界の電力需要に占める太陽光発電の割合も増えてきました。電力需要とは必要とされる電力量のことで、世界の電力需要は、世界で発電されている電力の総量とほぼ同じです。

2018年には世界の電力需要のうち、太陽光で発電した電力は約2.6%となりました。2.6%と聞くと少ないと思われるかもしれませんが、2017年に2.2%だったことを考えると大きく増えたと言えます。*3_18P

図4 2018年の世界の電力需要に占める再生可能エネルギーの割合

*出典:新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO) 国際エネルギー機関・太陽光発電システム研究協力プログラム(IEA PVPS)報告書 世界の太陽光発電市場の導入量速報値に関する報告書 (第7版、2019年4月発行)(翻訳版)
https://www.nedo.go.jp/content/100785821.pdf

このように、世界の太陽光発電コストは2013年上半期の15.1円から2017年上半期の9.1円まで低減し、それに伴い買取価格も低減。安く導入できるようになったことも影響し、中国を筆頭に太陽光発電の導入が増えており、世界の電力需要の2.6%を占めるようになりました。

では日本の太陽光発電コストの推移や、それに伴う買取価格、導入量、電力需要に占める割合はどうなっているのでしょうか。

日本の太陽光発電のコスト推移

日本の太陽光発電コストも世界と同様に低減しています。ですが、世界と比べるとまだ高いのが現状です。2017年上半期の世界の発電コストが1kWhあたり9.1円、欧州の2016年の発電コストが1kWhあたり9円なのに対し、日本の2016年の発電コストは1kWhあたり18円と、世界や欧州と比較するとおよそ2倍ほど高くなってしまっています。*1_3P *4_7P

経済産業省資源エネルギー庁の保田友晶氏は「再生可能エネルギーの主力電源化に向けた課題と展望*4_7P」の中で、日本の太陽光の発電コストが高い原因を次のように挙げています。

  • FIT高価格と競争不在
  • 多段階の流通・下請け構造
  • 平地の少ない地理条件
  • 専門企業の未成熟
  • ビッグデータ未活用

図5 欧州と日本の太陽光発電コストの推移[円/kWh]

*出典:経済産業省 資源エネルギー庁 再生可能エネルギーの主力電源化に向けた課題と展望(2019)http://www.jpea.gr.jp/pv2019/pdf/PV-6-1_keisan.pdf

太陽光の発電コスト低減に向けた経済産業省の施策

図5のとおり、日本の2016年の発電コストは1kWhあたり18円と、欧州と比較するとおよそ2倍となっています。ですが日本でも、これまで事業用太陽光発電を行ってきた事業者のうち上位0.2%は1kWhあたり10円未満で発電できています。これは欧州の発電コストと変わらない水準です。*8_13P

そこで経済産業省では2017年度より「入札制度」を導入し、トップランナー(発電コストが上位25%の事業者)に照準を合わせた価格設定を行っています。*8_40P

図6 事業用太陽光発電 日本のコスト動向(トップランナー分析)

*出典:経済産業省 資源エネルギー庁 太陽光発電について(2018年11月) https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/040_03_00.pdf

発電コスト低減に伴う買取価格の低減

日本の太陽光発電コストは世界や欧州から遅れているものの年々低減しており、それに伴って買取価格も低減しています。2010年に1kWhあたり40円だった買取価格も、2018年には15.2円まで下がりました。*2_8P

図7 太陽光発電(2,000kW)の各国の価格

*出典:環境省 平成 31 年度以降の調達価格等に関する 意見(案)(2019)https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/044_02_00.pdf

発電コスト低減に伴う導入量の増加

日本でも世界と同様に発電コストが低減することで、太陽光発電の導入が進んでいます。発電コストや価格の低減では世界や欧州に遅れをとっていますが、年間導入量では世界4位の6.5GW、累積導入量では世界3位の56GWとなり、導入量に関しては世界でも大きく進んでいます。*3_9P

図8 2018年の太陽光発電システム年間導入量及び累積導入量上位10ヶ国

*出典:新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO) 国際エネルギー機関・太陽光発電システム研究協力プログラム(IEA PVPS)報告書 世界の太陽光発電市場の導入量速報値に関する報告書 (第7版、2019年4月発行)(翻訳版)https://www.nedo.go.jp/content/100785821.pdf

導入量増加に伴う電力需要に占める太陽光発電の割合の増加

上記のように日本でも太陽光発電の導入量が増えていて、日本の電力需要に占める太陽光発電の割合も増加しています。*5

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
1.9% 3.0% 4.4% 5.7% 6.5%

表1 日本の全発電量に占める自然エネルギーの割合の推移

*出典:認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所 2018年(暦年)の国内の自然エネルギー電力の割合(速報)https://www.isep.or.jp/archives/library/11784

 図9 日本全体の電源構成(2018年)

*出典:認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所 2018年(暦年)の国内の自然エネルギー電力の割合(速報)https://www.isep.or.jp/archives/library/11784

このように、日本の太陽光発電コストは世界や欧州から比べると遅れているものの、2010年に1kWhあたり40円だったコストが、2016年には1kWhあたり18円となり、着実に低減しています。価格の低減が遅れているものの、年間導入量は世界4位、累積導入量では世界3位と導入量では世界でも上位に位置しています。

さらに発電コストを低減させることで、導入量を増加することが予測されますが、日本は今後どのように取り組んでいくのでしょうか。

これからの太陽光発電のコスト目標

経済産業省の自然エネルギー庁はウェブページの「再エネの主力電源化を実現するために」の中で次のように述べています。*6

現状、太陽光発電や風力発電などの再エネは、「主力電源」(電力をつくる方法)となるには、まだまだ課題を抱えていますが、今後のエネルギー情勢を考えれば、再エネを大量導入し「主力電源」化していくことは不可欠です。

*出典:経済産業省 資源エネルギー庁ウェブサイト 「再エネの主力電源化を実現するために」 2018年https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/saiene/shuryokudengen.html

今後は政府主導で自然(再生可能)エネルギーを主力電源にする取り組みが行われますが、日本の大規模太陽光発電の発電コストは、2025年に1kWhあたり6.4円、2030年には1kWhあたり5.3円まで低減すると見通されています。*2_10P

図10 民間調査期間による太陽光発電のコスト見通し

*出典:環境省 平成 31 年度以降の調達価格等に関する 意見(案)(2019)https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/044_02_00.pdf

政府は2030年には国内の電力需要のうち22~24%を自然(再生可能)エネルギーで発電した電力から供給するエネルギーミックスを目標に掲げ、そのうち太陽光は日本の電力需要のうちの7%あたる6400万kWを目標にしています。*7_15、23P

図11 長期エネルギー受給見通し(エネルギーミックス)とFIT買取費用

*出典:経済産業省 資源エネルギー庁 2030年エネルギーミックス必達のための対策 ~省エネ、再エネ等~https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/022/pdf/022_006.pdf

太陽光発電コストや買取価格の低減において世界や欧州から遅れている日本ですが、今後も改善を続けることで着実に太陽光発電が普及していく見通しとなっています。

まとめ 太陽光発電の未来

これまでみてきたように、太陽光発電の固定価格買い取り制度はドイツなどの欧州諸国が先にはじめ、技術を向上させ発電コストを低減させてきました。今では、中国が年間導入量でも累積導入量でも世界一となっています。

そんな中、日本も発電コストや買取価格の低減は遅れているものの、年間導入量では世界4位、累積導入量では世界3位と、積極的に太陽光発電を普及させています。政府も自然(再生可能)エネルギーを主力電源化しようと取り組んでいるため、需要の増加と技術の向上で発電コストを低減させ、導入量がさらに増えていく好循環が加速するでしょう。

<引用・参考サイト一覧>

Photo by Andreas Gücklhorn