最大の受け手を失った日本の廃プラスチック、どう対処するべきか

日本では食品トレーやペットボトル、または家庭やオフィスといったところで、大量のプラスチックごみが排出されています。
実はこれらの多くは国内でリサイクルしきれていないのが現状で、海外に輸出し、そこでプラスチック製品としてリサイクルされることで解消してきた現実があります。

しかし、そのやり方は通用しなくなってきました。

廃プラスチックの輸出大国・日本

日本は世界第3位の廃プラスチック輸出国で、2017年には143万トンの廃プラスチックを海外に輸出しています*1。

しかし、「リサイクルを海外に押し付けている」という批判の声も上がっていて、本格的な見直しを迫られています。

日本の廃プラスチック輸出の現状

日本の廃プラスチックの最大の受け手は中国でしたが、2017年の9月以降、その量が激減しました(図1)。

 

図1 日本のプラスチックくずの輸出量(出典:「プラスチックを取り巻く国内外の状況)
http://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-01/y031201-2x.pdf p12

 

これは、中国が2017年7月に「固体廃棄物輸入管理制度改革実施案」を公表し、2017年末までに環境への影響が大きい固体廃棄物の輸入を禁止する、という措置を取ったためです。

最大の輸出先を失った日本の廃プラスチックは、そこから東南アジアを輸出先の代替地としています(図2)。

 

図2 日本の廃プラスチック輸出先の変化(出典:「古紙・廃プラスチックの動向」日本海事センター)
http://www.jpmac.or.jp/img/research/pdf/B201922.pdf p3

 

2018年にはマレーシア、タイ、ベトナムなど東南アジアの国を中心に輸出先が変わっていますが、総輸出量は2017年の143トンから100トンに減少しています。
しかしまもなく、こうした国々からも輸入を拒否される可能性が高まっています。日本の廃プラスチックは完全に行き場を失おうとしています。

廃プラスチック輸入規制とバーゼル条約

現在、東南アジア諸国でも、廃プラスチックの輸入規制が次々と決定されているのです(図3)。

 

公表または施行内容
マレーシア2018年10月輸入許可発行の要件を厳格化
タイ2018年6月輸入を許可するプラスチックくずの規格を限定。2021年までにプラスチックくずの輸入全廃する見通し
ベトナム2018年9月輸入を許可するプラスチックくずの規格を限定、輸入コンテナのランダム検査
台湾2018年10月プラスチックくずの輸入規制を厳格化

 

図3 プラスチックくず輸入規制の一例
(環境省「平成 30 年度プラスチックくず等の輸入規制に関する調査検討業務報告書」より作成)
https://www.env.go.jp/recycle/yugai/pdf/houkoku_h30.pdf p43、p55、p5、p105

 

2018年に入って規制を導入、厳格化する動きが出ています。一方で自国のビジネスの観点から、リサイクル業者を守るために輸入停止にはまだ至っていない国もありますが、全体としては全体的に輸入を規制する方向に進むと考えられます。

その背景にあるのは、「バーゼル条約」です。

正式名称は「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」で、日本を含む約180の国と地域が批准しています。2019年5月にジュネーブで開かれた国際会議でその改正案が採択され、2021年1月1日に発効します。

具体的には、リサイクルに適さない汚れたプラスチックごみを条約の規制対象としたほか、汚れたプラスチックごみを輸出する際には所定の手続きを経て、相手国の同意を得なければなりません(図4)。

 


図4 バーゼル条約に基づくプラスチックごみの輸出入手続き
(出典:「廃棄物等の輸出入管理の概要」環境省)
http://www.env.go.jp/recycle/yugai/pdf/gaiyou_H30.pdf p3

 

輸出入において、業者間ではなく「国と国同士で合意」をする必要があります。

このような手続きを設けた目的は、世界のプラスチックの流れを管理しようというものです。特に途上国などでは、輸入したプラスチックくずなどを国内で処分しきれないことが海洋の流出などに繋がっている可能性があります(図5)。

 

図5 バーゼル条約附属書改正の背景
(出典:「バーゼル条約第14回締約国会議の結果について」環境省)
https://www.env.go.jp/council/03recycle/ss6.pdf p3

 

輸入する側としては事前通告制度があることで輸入量の管理がしやすく、場合によっては拒否することも可能になります。

線形経済から循環経済へ

EUではすでに、「サーキュラー・エコノミー(CE)」の取り組みが始まっています。これまでの「線形経済」から脱却するため、政策パッケージとして設定されています(図6)。

 

図6 線形経済と循環経済の違い(出典:「資源循環政策の現状と今後の展開」経済産業省)
http://www.3r-suishinkyogikai.jp/data/event/H28RR3.pdf p4

 

これまでの線形経済は、消費後は一部のリサイクルを除いて廃棄物になるという一直線のモノの流れでした。

しかし、サーキュラ・エコノミーにおいては、まず製造段階から「いかにリサイクルしやすいか」ではなく、修理によってどれだけ繰り返し使えるかを重視したデザインを重視されます。
「リサイクル」というのは、一度「捨てる」ことが前提になってしまいますが、そうではなく、「まず最初の製品になったものを長く使う」という方法です。

「リサイクル」よりも前の段階で、資源の使用量やロスを減らそうという考え方です。

そして、もう一つ重要な考え方として、「経済活動と環境影響デカップリング」というものがあります(図7)。

 

図7 2つのデカップリング(出典:「「資源循環政策の現状と今後の展開」経済産業省)
http://www.3r-suishinkyogikai.jp/data/event/H28RR3.pdf p2

 

「デカップリング」というのは「分離」という意味です。
これまでであれば、経済活動が活発化、要するにモノが売れれば売れるほど、その分資源を使う、というのが当たり前でした。

しかし、その積み重ねが現在の環境問題を招いています。

そこで今後は経済活動と環境保全を同時に進めるために、経済活動規模と資源利用や環境負荷をいかに別物にしていくかということが求められます。
経済は発展しても、資源はあまり減らないという経済のあり方を模索しなければなりません。

「リサイクル」よりも環境負荷の低い経済へ

プラスチック製品について、これまでは「リサイクル」が主流でしたが、それがなかなか上手くいっていないという現状が浮き彫りになってきています。

特に日本の場合、これまで海外頼みだった廃プラスチックのリサイクルを代行してくれる国がなくなっていきます。

リサイクルの意識も大切ですが、リサイクル活動そのものにもCO2の排出を伴うため、できればそれ以前の段階で環境負荷を減らすという「サーキュラー・エコノミー」のあり方は今後重要性を増してくることでしょう。

まずは、最低でも「国内で環境負荷少なく処分できる」レベルにまで排出量を減らすこと、これが日本にとっては喫緊の課題となるでしょう。

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参照・引用を見る

図1「プラスチックを取り巻く国内外の状況」環境省
http://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-01/y031201-2x.pdf p12

図2 「古紙・廃プラスチックの動向」日本海事センター
http://www.jpmac.or.jp/img/research/pdf/B201922.pdf p3

図3 「平成 30 年度プラスチックくず等の輸入規制に関する調査検討業務報告書」環境省
https://www.env.go.jp/recycle/yugai/pdf/houkoku_h30.pdf p43、p55、p5、p105

図4 「廃棄物等の輸出入管理の概要」環境省
http://www.env.go.jp/recycle/yugai/pdf/gaiyou_H30.pdf p3

図5 「バーゼル条約第14回締約国会議の結果について」環境省
https://www.env.go.jp/council/03recycle/ss6.pdf p3

図6、7 「資源循環政策の現状と今後の展開」経済産業省
http://www.3r-suishinkyogikai.jp/data/event/H28RR3.pdf p4、p2

*1 「行き場を失う日本の廃プラスチック」JETRO
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2019/0101/fceb0360455b6cdf.html

 

Photo by Marc Newberry on Unsplash

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