ごいち通信1号「新しい働き方で、再エネが増える!かも。」

こんにちは。
自然電力クルーの川島悟一です。

現在、未来創造室というチームに所属し、再エネをどうしたら増やせるか考えて、あれこれトライするのが私の仕事です。

いつも再エネに関していろんな妄想をしているのですが、HATCH編集部から「せっかくなら、記事にしてみては?」と推薦され、徒然なるままに、書いてみることにしました。

 

第1号は(2号以降も続くよう頑張ります)、新しい働き方の広まりで再エネが増えるかもしれないと考えているので、それを解説します。少し“風が吹けば桶屋が儲かる”的な話かもしれませんが、私は、社会構造の大きな転換の一端とも考えています。

 

在宅勤務という選択肢

新型コロナウイルスへの対策として、自然電力グループも、3月中旬から「原則、在宅勤務」となり、非常事態宣言後も「在宅勤務を推奨」となっています。

私も、2か月以上在宅勤務しています。月に3回くらい行っていた東京出張も行っていません。これまでインターネットの会議は、社内か社員の誰かがお客様先に行って、私がインターネットで参加という形でしたが、現在は打ち合わせのほとんどをインターネットのみで済ませることができています。中央省庁や企業もその規模に関わらず、ほとんどがオンラインでの打ち合わせに対応いただいています。

そして、私は田舎暮らしがしたいと考えているので、このまま、どこかに引っ越そうかと妄想していたりします。どうやら、私だけでなく、少なくはない人たちが、同じように考え始めているようです。

 

地方暮らし希望者が急増!?

オフィスに行かなくてもいいなら、好きなところに住める、地方暮らしでもいいじゃん!ということで個人的には地方暮らしが実行できると考え始めており、潜在的なニーズ・ウォンツも顕在化してきていると考えられます。

静岡のマーケティング会社トムスの調査では、首都圏在住の方を中心に約200名のwebアンケートを行ったところ、週1回の出勤義務や基本テレワークを前提にすれば、長距離通勤地方移住も検討してみたい方が約20%、実現可能性は問わなければ約50%の方が興味を持つという結果が出たそうです*1。

また、就職情報会社「学情」が先月24日から今月1日にかけて行った、20代360名の転職希望者を対象としたインターネット調査によれば、地方への転職希望者が36%となり、2月の同調査より14ポイント多くなったようです*2。

地方の市町村もこれをチャンスと捉えて、動き出しています。例えば、徳島県阿南市は、2015年から移住促進事業を行っていますが、地方移住への関心の高まりを受けて、6月からオンラインでの移住相談を始めるようです*3。

移住政策に成功している地域も多いので、こうした地域はもちろんのこと、その政策を真似た多くの地域で、移住者が増えていく未来も考えられます。

 

住宅での太陽光発電

そして、ここからが本題です。なんと、地方暮らしが増えると、太陽光発電設備が増えるんです。

それは、住宅用太陽光発電設備が増えるためです。都会だと1戸当たりの面積が狭く、屋根も小さくなるため大きな太陽光発電設備は設置できません。実際に、都道府県別の10kW未満の太陽光の導入量と件数から、1件当たりの容量を計算してみました。

また、都会では隣の住宅と接近していて、隣の住宅に陽を当ててあげるために、北勾配の屋根になり、太陽光発電設備の設置に不向きであるため、設置自体を諦める人も多いと考えられます。そこで、10kW未満の太陽光のFITの認定件数を戸建住宅の着工件数で割り、都道府県別の戸建住宅における住宅用太陽光発電設備の設置率も算出してみました。なお、10kW未満の太陽光のFIT認定件数には、新築ではない住宅への設置も含まれていますので、あくまでもこの設置率は、新築住宅への設置率ではなく、都道府県別に太陽光が設置される程度を見るための目安です。

 

この図を見ると分かるように、東京都、神奈川県、大阪府といった都会は、設置の割合も小さく、1件当たりの設置容量も小さいのが分かります。都会だと太陽光発電設備をたくさん設置したくても、それができない実態があると言えます。

一方で、それ以外の地域は、設置の割合が高かったり、1件当たりの設置容量も大きかったりします。つまり、都会から地方に引っ越すことで、太陽光発電設備をたくさん設置することができるようになるのです。

しかも、地方への移住者は、エネルギーや食糧の自給にも意識が高いと考えられ、地方へ移住して、エネルギー自給の家を建てて、暮らすというひとつのトレンドが生まれると私は考えています。

 

電力系統に接続できる発電所が増えるかも

それともう1つ、今スグには影響しないかもしれませんが、地方移住者が増え、地方の日中の電気需要が増えることで、送配電系統の工事費用が高くて接続できなかった発電設備が接続できるようになるかもしれません。

現在の太陽光発電所などの電力系統への接続は、太陽光が最大限発電するときの発電量から、その配電系統に接続する需要家の需要合計で、年間で一番低い昼の需要量を引いた容量が、送配電系統の容量を超えないようにするルールがあります(図の左側)。

地方の日中の電力需要が増えれば、この最小負荷も増えるので、接続できる太陽光発電の量も増やすことができるというわけです(図の右側)。

ただし、ノンファーム型接続 が適用されれば、現在の接続できない問題は解決され、さらに、経済的出力抑制が導入されれば、最終的には、エリア全体での需給バランスで発電所の出力抑制による事業性が決定されるようになり、そうなると、結局、移住による地方の電力需要の増加と都市部の電力需要の低下のどちらが多いんだろう、という点が実際には、再エネ発電所が増えるか増えないかの要点になりますが、、、。

ノンファーム型接続や経済的出力抑制については、またの機会に記事にしたいと思います。

 

まとめ

系統のところは、どうなるか分かりませんが、地方移住者が増えれば、地方に新規戸建が増えて、太陽光発電設備が増えるというトレンドは、ほぼ確実だと思います。

別の機会にぜひ書ければと思いますが、住宅用太陽光発電設備はかなり安くなっており、住宅ローンに組み入れて設置すれば、ローン返済の設備導入分の増額よりも電気代削減と売電のメリットの方がかなり大きい(ざっくり年間10~20万円くらい)んです。新築なら太陽光付けなきゃ、損です!

ということで、このように今回のリモートワークの広がりをきっかけに、地方暮らしが増えることによって、再エネ(特に太陽光発電)の導入量が増えるでしょう。

私も早く田舎暮らしがしたい!

 

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参照・引用を見る

*1 クラウドラボ「株式会社トムス インターネット調査」
https://www.e-toms.com/cloud-lab/contents/chihouijyu/

*2 学情ウェブサイトより
https://service.gakujo.ne.jp/data/survey/questionnaire202005-2

*3 阿南市「オンライン移住相談のサービス開始」
https://www.city.anan.tokushima.jp/docs/2020052700022/file_contents/3.pdf

 

Photo by Vivint Solar on Unsplash

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川島悟一

自然電力株式会社
未来創造室エキスパート

東北大学大学院理学研究科博士前期課程修了。
2001年、荏原製作所に入社、環境・エネルギーに関する新規事業開発。
2006年、博報堂にて、地球温暖化防止国民運動「チーム・マイナス6%」の企画・ディレクション。
2007年、環境コンサルタントとして独立し、企業や地方行政の温暖化対策の立案。
2009年、内閣府にて「新しい公共」のための環境整備となる政策立案。
2013年、自然電力に入社。太陽光開発、電力協議、小水力・バイオマス開発、電力小売事業などを担当。現在、中長期的戦略、政策渉外、新規事業などに従事。