CO2を排出しない次世代エネルギー!水素利用でクリーンな社会を実現しよう

CO2を排出しない次世代エネルギー!水素利用でクリーンな社会を実現しよう

水素とはその文字の通り「水の素」となる元素で、宇宙で最も多く存在する物質です。

水素は水をはじめとして地球上のあらゆるところに存在していることから、さまざまな原料から製造できるという特徴を持っています。

さらに水素は石油や石炭などの化石燃料とは異なり、燃焼や発電をしてもCO2を排出しません。そのため水素発電や燃料電池などの水素を利用したエネルギー技術は、CO2排出抑制に貢献することが期待されています。

この記事では国内外で広がりを見せている水素利用技術や水素社会実現への取り組みを紹介します。

なぜ今水素が注目されているのか

水素とは

水素は水素原子Hが2つで生成され、化学式H2で表される物質です(図1)。地球上で最も軽い気体で、宇宙空間の70%を占めています。

図1 水素とは
*出典1:資源エネルギー庁「水素エネルギーとは?」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/hydrogen/about/

水素は地球上では水素分子としてではなく、水素原子が他の元素と結合した化合物として存在しています。

例えば水(H2O)も水素原子が含まれた化合物です。水以外にも石油や石炭などの化石燃料やバイオマス、下水や汚泥にも水素は含まれています。

水素は水を電気分解することで生成されます。(図2)

図2 水の電気分解の原理
*出典2:環境省「脱炭素化にむけた水素の活用意義」
https://www.env.go.jp/seisaku/list/ondanka_saisei/lowcarbon-h2-sc/about-hydrogen/

青い惑星と呼ばれる地球は表面の70%が海で覆われているので、そのぶん水素もたくさん存在しているのです。

そして水素を作り出せるのは水だけではありません。水素は化石燃料、工業プロセスの副産物、バイオマス、自然エネルギー、廃プラスチックなどからも製造することができ、その一部はすでに実用化されています。(図3)

図3 水素の製造方法
*出典3:NEDO「水素エネルギー白書」(2015)p5
https://www.nedo.go.jp/content/100567362.pdf

製造された水素は工業原料として、石油精製や光ファイバーの製造など多様な用途があります。またマーガリンやサラダ油などの食品、化粧品や洗剤などの原料の一部としても使用されています。(*出典3)

水素のエネルギー利用としてはこれまでは産業ガスやロケット燃料などの特殊用途がメインでした。現在ではエネファーム(家庭用燃料電池)や燃料電池自動車などのエネルギー利用が実用化段階に入り、普及が広がっています。

水素エネルギーの活用意義

水素のエネルギー活用には、図4に示すように環境・エネルギーセキュリティ・産業競争力の3つの意義があります。

図4 水素エネルギー利活用の3つの視点
*出典4:資源エネルギー庁「「水素エネルギー」は何がどのようにすごいのか」(2018)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/suiso.html

まず「環境」についてですが、水素は利用時にCO2を排出しないことから環境負荷低減を実現します。

次の図5で示す通り、現在国内で主に使用されている石油や石炭、天然ガスなどは燃焼することでCO2を排出しますが、水素は燃焼してもCO2を一切排出しません。

図5 水素エネルギーとは
*出典1:資源エネルギー庁「水素エネルギーとは?」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/hydrogen/about/

この水素の特性を活かし、製造業の中で最もCO2排出の多い鉄鋼業では、水素を活用したゼロカーボン・スチールの実現を目指しています。

図6は水素還元を用いた製鉄のプロセスです。
製鉄のプロセスにおいて高濃度の水素を取り入れることでCO2排出を削減します。

図6 水素還元を用いた製鉄のプロセス
*出典5:一般社団法人 日本鉄鋼連盟 COURSE50「CO2を減らす技術」(2019)
https://www.jisf.or.jp/course50/tecnology01/

また水素は太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーからも製造できる可能性があります。現状では水素を製造する段階でCO2を排出してしまいますが、今後自然エネルギーの割合が増えることでCO2を排出しないよりクリーンなエネルギーになる可能性があります。

さらにエネルギー効率が高いところも水素利用のメリットの一つです。

図7は発電所と水素を燃料とする燃料電池のエネルギー効率の比較です。燃料電池は電気だけでなく熱もエネルギーとして利用することで、燃料のエネルギーを約80%利用でき、非常に高効率であることがわかります。

図7 水素エネルギーとは
*出典3:NEDO「水素エネルギー白書」(2015)p8
https://www.nedo.go.jp/content/100567362.pdf

次に「エネルギーセキュリティ」の視点ですが、水素はさまざまな原料から製造できることから、化石燃料のように中東などの一部の地域からの輸入に頼る必要はありません。社会情勢の変化に左右されず安定供給ができるので、エネルギーセキュリティの向上に大きく貢献します。

最後に「産業競争力」、日本は燃料電池の特許出願数が世界一であるなど高い技術力を誇っています。そのため水素・燃料電池市場がより拡大することで、今後の国内の経済・産業の発展も期待されます。また水素は地域資源から製造することでエネルギーの地産地消も可能となり、地域産業の活性化にもつながります。

国内外の水素活用事例

水素に注目しているのは日本だけではありません。エネルギーの脱炭素化にむけて世界各国で水素社会への取り組みが加速しています。

ここでは国内外での水素活用の事例や取り組みについてご紹介します。

海外での水素戦略

米国では燃料電池(FC)モビリティのなかでもFCフォークリフトやFCトラックの導入が進んでいます。FCフォークリフトの導入は2万台を超え、FCトラックは宅配業者など民間企業での普及がすすんでいます。

カリフォルニア州では、水素ステーションの設置が進んでいます。2024年までに燃料電池自動車を47,200台に増加させる目標を掲げ、100箇所以上の水素ステーションを建設予定です。

図8 カリフォルニア州の水素ステーション開所目標
*出典6:NEDO「米国における水素・燃料電池技術開発動向」(2019)p12
https://www.nedo.go.jp/content/100895017.pdf

カリフォルニア州の水素ステーションではロボットを利用して水素を充填する無人化の実証も完了しています。

さらにロサンゼルス市水道電力局は従来の石炭火力から水素発電への転換計画を発表しています。ロサンゼルスの水道電力局は2025年には30%の水素と70%のガスの化合物を燃焼できる発電所の運用を開始する予定です。(*出典7)

次にヨーロッパの水素戦略について見てみましょう。

ヨーロッパでは2050年までに交通・運輸部門や産業エネルギーなどを含む総エネルギー需要の24%を水素で供給する野心的な目標を立てています。

図9 水素ロードマップ
*出典8:NEDO「欧州における水素関連の 研究開発等の動向」(2019)p9
https://www.nedo.go.jp/content/100895075.pdf

またドイツではフランスの重電メーカーの燃料電池列車「コラディア・アイリント」が世界初の商業運転を開始しています。(図10)

図10 燃料電池列車「コラディア・アイリント」
*出典8:NEDO「欧州における水素関連の 研究開発等の動向」(2019)p23
https://www.nedo.go.jp/content/100895075.pdf

燃料電池列車では屋根の上に設置されたタンクに入っている水素と大気中の酸素を反応させて電気を生産します。床下にはリチウムイオン電池が内蔵されており、発電したエネルギーを充電することで動力として走行します。

交通インフラに関しては列車だけでなく、燃料電池バスの整備も進んでいます。
2023年にはヨーロッパの22都市に約300台ものゼロエミッション型燃料電池バスが整備される予定です。(*出典8)

日本の水素技術導入の取り組み

日本でも水素社会の実現に向けて、全国の自治体でさまざまな取り組みを実施しています。

水素先進県を目指す山口県では、水素ステーションを中心としたまちづくりや水素活用による産業振興に取り組んでいます。
山口県周南市では地産地消型の水素サプライチェーンを構築し、製造・供給・利用のすべてを同じエリア内で完結させています。(図11)

図11 「地産地消型」水素サプライチェーン
*出典9:山口県商工会議所「水素ステーションの開業と燃料電池自動車の導入について」(2015)p4
https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cmsdata/6/f/8/6f8a21134b56b68c6e2150b64931b37b.pdf

今後は周南市以外の県内地域でも水素ステーションを核としたまちづくりを広げていく方針です。

福島県浪江町では「福島水素エネルギー研究フィールド」というプロジェクトに取り組んでいます。
このプロジェクトでは再生可能エネルギーから水素を作り出し、製造・貯蔵・輸送・供給利活用、トータルでCO2フリーを実現できる未来の水素社会のモデル作りを目指しています。(図12)

図12 「福島水素エネルギー研究フィールド」プロジェクトの概要図
*出典10:資源エネルギー庁「福島生まれの水素をオリンピックで活用!浪江町の「再エネ由来水素プロジェクト」」(2018)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/fukushimasuiso.html

水素社会の実現に向けて

水素社会の実現のためには、燃料電池や水素発電などの技術・コスト面の課題解消と水素ステーションや燃料電池を使用した交通網などの水素インフラの整備が必要です。

日本は燃料電池技術の分野においては世界をリードしていますが、水素インフラの整備は欧米に遅れをとっている現状があります。

次の図13は水素社会実現に向けた技術課題です。

図13 水素社会実現に向けた技術課題
*出典3:NEDO「水素エネルギー白書」(2015)p175
https://www.nedo.go.jp/content/100567362.pdf

日本では水素社会実現に向けて産学官が協力して取り組む「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を策定しています。(図14)

この目標では燃料電池自動車の普及などの水素利用の飛躍的拡大を最初のステップとして、最終的にはトータルでのCO2フリーとなる供給システムの確立を目指しています。

図14 水素・燃料電池戦略ロードマップ
*出典11:資源エネルギー庁「水素利用に向けてのビジョン」(2018)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/hydrogen/efforts/

まとめ

水素はエネルギー事業、交通インフラ、鉄鋼業などさまざまな分野で活用することで、地球温暖化の原因であるCO2削減に大きく寄与します。

そして使用する水素自体をCO2を排出しない自然エネルギーから製造することで、本当にクリーンな水素社会を実現することになります。

最後に水素社会の未来予想図をご紹介します。(図14)

図14 未来予想図 水素社会のこれから
*出典12:資源エネルギー庁「ようこそ!水素社会へ〜水素・燃料電池政策について〜」(2018)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/hydrogen/

水素は社会のあらゆる分野で活用が期待されており、未来のエネルギーの核となる可能性を秘めています。

水素ステーションなどインフラ整備には時間がかかりますが、エネファームや燃料電池自動車は私たちの生活の中で身近になりつつあります。

水素が生活の中心として活躍する社会が、すぐそばまで来ているのかもしれません。

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参照・引用を見る
  1. 資源エネルギー庁「水素エネルギーとは?」

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/hydrogen/about/

  1. 環境省「脱炭素化にむけた水素の活用意義」

https://www.env.go.jp/seisaku/list/ondanka_saisei/lowcarbon-h2-sc/about-hydrogen/

  1. NEDO「水素エネルギー白書」(2015)p5

https://www.nedo.go.jp/content/100567362.pdf

  1. 資源エネルギー庁「「水素エネルギー」は何がどのようにすごいのか」(2018)

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/suiso.html

  1. 一般社団法人 日本鉄鋼連盟 COURSE50「CO2を減らす技術」(2019)

https://www.jisf.or.jp/course50/tecnology01/

  1. NEDO「米国における水素・燃料電池技術開発動向」(2019)

https://www.nedo.go.jp/content/100895017.pdf

  1. みずほ情報総研「水素・燃料電池戦略ロードマップの進捗確認及び 国内外における水素・燃料電池利活用状況調査 調査報告書」(2020)p112

https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000146.pdf

  1. NEDO「欧州における水素関連の 研究開発等の動向」(2019)p15

https://www.nedo.go.jp/content/100895075.pdf

  1. 山口県商工会議所「水素ステーションの開業と 燃料電池自動車の導入について」(2015)

https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cmsdata/6/f/8/6f8a21134b56b68c6e2150b64931b37b.pdf

  1. 資源エネルギー庁「福島生まれの水素をオリンピックで活用!浪江町の「再エネ由来水素プロジェクト」」(2018)

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/fukushimasuiso.html

  1. 資源エネルギー庁「水素利用に向けてのビジョン」(2018)

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/hydrogen/efforts/

  1. 資源エネルギー庁「ようこそ!水素社会へ〜水素・燃料電池政策について〜」(2018)

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/hydrogen/