自然電力が提供する実質自然エネルギー100%の電気「自然電力のでんき」のブログに
掲載(2020年4月10日)されたものを転載しています
こんにちは、編集スタッフ(「自然電力のでんき」blog編集部)の武山です。自転車通勤をしており、週末は家族でキャンプに出かけるのが大好きなアウトドア派です。自転車といっても電動ママチャリですが、再エネで充電しているのでエコだなと勝手に思っています。笑
さてそれでは、本日のコンテンツです!
Act Locally ~スウェーデンのエシカルな暮らし・マルメ編(前編)~
このコーナーは、私たち編集部より、「地域でこんな面白い取り組みしているよ」という地域・人々をご紹介するコーナーです。
今回は、「スウェーデンのエシカルな暮らし」について、株式会社山櫻の市瀬豊和代表取締役社長が教えてくださいました。
みなさんご存じの通り、主に名刺・封筒・挨拶状などオフィス用紙製品を中心とした紙製品事業を営んでいる山櫻。1990年代に、業界初の再生紙を使用した名刺、ザンビアのバナナペーパー等、エシカル製品の普及に取り組まれています。今回、一般社団法人エシカル協会主催のスウェーデン現地視察ツアーに参加され、その時の様子を私たちに共有してくださいました!
マルメ市役所環境局にて。左が市瀬社長。私たちだけのために現地ツアー報告をしてくださいました。ありがとうございます!
それでは、早速みてみましょう!
カーボンニュートラルの街、マルメってどんなところ?
環境に配慮したサステナブルな都市として世界中から注目をされている、スウェーデンのマルメ市。その中の海岸部「ウェスタンハーバー」は90年代まで造船の町として深刻な環境問題に直面していましたが、全面的な見直しを行い、現在は100%再生可能エネルギーで電力を賄っています。
また自転車に優しい街として知られるマルメ市は、全移動手段の30%を自転車が占めていることもあり、道路の中央レーンに自転車の走行エリアがあったり、街区内への自家用車乗り入れ 制限を行うことで、安全確保と自転車に乗っている人や歩行者の会話が生まれるようなコミュニティ作りにも寄与しています。
ゴミ回収はダイレクト&ハイテク制御!
生ゴミを専用の紙袋に入れてこのポストに入れると、バキュームで吸われて中央処理室に送られる仕組み(まるで巨大なディスポーザーのよう!)。このシステムは全てコンピュータ制御されており、この技術は遠く離れたブラジルでも採用され、スウェーデンでブラジルの生ゴミをコントロールしているそうです。
また、街の中は至るところに池が作られており、生物多様性保全に力を入れています。受粉を手助けするハチの保護も非常に活発で、ハチの重要性を訴えるポスターがあちこちに貼られているのはもちろんのこと、バス停の屋根の上にはハチのための花畑も用意されているそうです!
乗り物も徹底的にクリーン
レンタサイクルも充実しているマルメ市では、なんとたったの3000円弱で1年間乗り放題の定期券が購入できるそう。1日だと約1000円なので、年間で借りた方が断然お得です。
市内を走るバスは上記の生ゴミから出るバイオガスを使ったクリーンエネルギーを燃料としており、タクシーもバイオガスやメタンガスを使って走っているとのこと。しかもタクシー予約時にガソリンかEVか乗客が選べるようにボタンが付いているそうです!
この選択制はタクシーだけでなく、飛行機に乗る際もガソリンかグリーン電力かを選べるようになっており、チェックインは無人、待合室は100%のグリーン電力が使えるコンセントが常備されているというすごい徹底ぶり。。。さすが環境大国のスウェーデンです!
「エシカル」っておいしい&おしゃれ!
市内で人気のマックスバーガーというファストフードチェーン。
牛から排出されるメタンガスが地球環境に悪影響を与えているということで、世界的には牛肉の消費量を減らし、ビーガン思考が高まっていますが、このマックスバーガーもビーガンメニューがとても豊富。さらに全てのメニューのライフサイクルCO2(CO2排出量)が記載されており(!)店舗の電気は風力発電で賄われています。それでも一部で発生してしまうCO2のために、今まで2万本以上の植林活動も行ってきたそうです。
しかもこのマックスバーガー、現在スウェーデンで120店舗を構えているのですが、220店舗を展開しているマクドナルドよりも利益が出ているとのこと!
従業員募集のポスターには「一緒に世界を変えませんか?」の一言。障害の有無や国籍などを一切問わないのはもちろんのこと、男女の垣根を超えたジェンダーフリー雇用が実践されているそうです。
最後にご紹介するのは、サステナブルブランドとして世界の注目を浴びているNUDIE JEANSです。
このスウェーデン発のジーンズブランドは、フェアトレードで作られたオーガニックコットンを使用しており、製造工程でも極力薬品などを用いず、再生可能エネルギーを用いた工場で生産されています。さらに、リペアは何度でも無償(!)。修理不可になったものやサイズオーバーしてしまった物などはいつでも返品でき、新しい製品が20%オフになるクーポンと引き換えることができます。この返品されたジーンズは洗浄・加工後にリユースデニムとして販売される仕組みもあり、まさに1つのプロダクトをずっと使い続けるサーキュラーエコノミーを実現しています。
環境に優しいジーンズを履いて、マックスバーガーを片手にクリーンエネルギーのバスに乗る・・・うーん、サステナブルな生活が既に定着しているマルメ市・・・行ってみたいです!
今回はここまで。「カーボンニュートラルの街」マルメ市、いかがでしたでしょうか?スウェーデンといえば、サステナブル、というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?実際、世界のSDGs達成度ランキングでは2位を獲得しています。
エネルギー分野では、水力・バイオマスを中心とした再生可能エネルギーが拡大しており、2017年には国内エネルギー消費量のうち約54%も再エネが導入されています。環境先進国の取り組みやシステム、学ぶところが沢山ありました!
Act Locally ~スウェーデンのエシカルな暮らし・ゴットランド編(後編)~
世界遺産の街、ゴットランド島
ゴットランド島は、スウェーデン南東部にある、人口約6万人の島です。
その中心都市、ヴィスビューは、ユネスコの世界遺産にも登録され、古い教会や町並みが城壁で囲われ、中世の雰囲気が色濃く漂った街です。赤い屋根の家が立ち並び、とても優しい雰囲気の街、と市瀬さんがおっしゃっていたのがとても印象的でした。
送迎バスはバイオガスで!島のエコホテル
こちらは、観光業が盛んなゴットランド島で初めて環境ラベルを取得したホテル。約400年前に建てられた建物を利用しているこのホテル、使われる電気は夏は風力、冬は地熱を利用しているだけではなく、港からの送迎バスはバイオガスで走るという徹底ぶりです。
客室内では、シャワーなどの水道は霧が出るように節水設計されており、これで水道利用量が9割以上も減ったそうです!連泊者への寝具・タオル類の交換は基本なし(希望があれば交換)、洗剤も洗剤を使うことをやめ、お酢などナチュラルなものを使用、それだけでピカピカになるのだとか。
腐った牛乳の香水?スーパーのユニークなフードロス削減提案
島内にあるサスティナブルなスーパー『COOP』では、なんと腐った牛乳(=OLD MILK)の香りがする香水が店頭に置かれているそうです・・・!これは、「この匂いがするまで牛乳は飲めますよ」というメッセージなのだとか!
そのほか、卵は放牧された鶏から採れたものと、そうでないものを分けて陳列していたり、海のエコラベルと呼ばれているMSC認証マーク付きの魚、フェアトレードのバラなど、徹底してこだわっています。
スーパーの脇にあったペットボトル回収機。こちらはキャップもボトルも、ラベルも全部「丸ごと」ボックスに入れればリサイクルできるそうです!日本だとそれぞれ分別する必要がありますが、スウェーデンではすべて同じ素材でできているため、分別の必要がないそうです!
島民たちが出資した風力発電
バルト海の中央に位置するゴットランド島では、CO2を出さない天然資源、風力の恩恵を常に受けることができます。島民約250人が出資して風力3基を建てたことがきっかけとなり、いまでは約160基の風力発電が街の電力の約50%を支えています。さらに、島の2000世帯以上が風力発電機の株式を所有しているのだそう!まさしく地域に還元される事業になっているのですね!
今回のゴットランド島、いかがでしたでしょうか?
今回、ツアーの様子をお話してくださった市瀬さんが、「約46億年前に始まった地球の歴史の中で、人類は約600万年前に誕生、そして化石燃料を使い始めたのはここ数百年のこと。そのたった数百年で地球を壊していることを考えると、気候変動を真剣に考えないといけない。」とおっしゃってくださいました。
まだまだ個人レベルでもできることがある、と思うと同時に、仕組みから変えていくことの重要性も改めて気づくことができました。
※画像の一部は株式会社山櫻 市瀬様より許可をいただき、掲載しております。
参照・引用を見る
SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)HP
https://www.sdgindex.org/
一般社団法人海外電力調査会「各国の電気事業(2019年版)」
https://www.jepic.or.jp/data/w09swde.html
マルメのレンタサイクルHP
https://www.malmobybike.se/en