Less Plastic, More Fun! 2020年内に100万本のペットボトル削減に取り組む「mymizu」とは

最近、よく見かけるようになったマイボトルやマイカップにエコバッグ。なるべく使い捨てのプラスチックゴミを出さないことを目的としたグッズですが、みなさん上手に活用できていますか?

例えばマイボトルも、持って出かけたものはいいものの、途中で飲み物が無くなってしまってペットボトルを買っていたり。せっかくマイボトルを持ち歩いてるのにもったいないですよね。

そんな不必要なペットボトルを無くすことを目的にスタートしたムーブメントがあります。その名も「mymizu(マイミズ)」。彼らが昨年9月にローンチしたアプリ「mymizu」は「給水スポットを見つけ」「給水し」「給水記録から削減できたペットボトル数、CO2排出量、節約できた金額をトラッキングできる」という、今まであるようでなかった、画期的なアプリです。

mymizuの共同創立者であるRobin Takashi LewisさんとMariko McTierさんにmymizu立ち上げまでの背景や、彼らが持っている危機意識、目指していきたい社会など、詳しくお話をうかがいました。途中からは自然電力のメンバーも入り、水とエネルギーの共通点(=分かりにくい…)などについて非常に盛り上がりました。

お話をうかがったのはmymizuの給水ポイントにも登録されている表参道のTHE_Bにて。美味しいコーヒーや食事はもちろん、店内では環境に配慮した商品も販売している、とっても居心地の良い空間でした。

 

(聞き手:HATCH編集部)


mymizuの共同創設者であるRobin Takashi Lewisさん(左)とMariko McTierさん(右)
やりがいを感じられる仕組みを

ーアプリ、ダウンロードしてます。これって、どれくらいの給水スポットが登録されているんですか?

 

Mariko:今、日本だと5,500くらい。

 

ーあ、日本だけじゃなくて世界中で展開を。

 

Mariko:世界だと197,000カ所くらい。給水所の情報はオープンデータを使ったり、ユーザーが投稿してくれたもののデータを使ってます。日本だと、公的な水飲み場(公園や駅など)もたくさん載っているんだけど、それ以外にも浄水やお湯を無料で提供いただけるお店も載っています。大体300カ所くらいかな。9月にスタートしたばかりなのだけど、私たちのSNSやメディアへの掲載を見かけたお店が自分で登録して下さって、増えてきている状況です。

 

ーお店側が自分で登録してくれてるんですか!

 

Robin:そう、ほぼ営業らしい営業はなし。

 

ーすごい。

 

Mariko:地図はこんな感じなんだけど…例えばThe Bだったら給水の詳細、時間だったり、どういう風に給水できるかが書いてあって。

ーgoogle mapと連動してるんですね。

 

Mariko:最近導入したのは、「ここで給水した」というのを記録する機能。ユーザーさんの話を聞いていると、ペットボトルを削減できた分、すごく嬉しいけれど、それが可視化されていないと自分がどれだけ貢献したか分からない。

 

Mariko:例えばこれ、わたしだと今までトータル19本のペットボトルが削減できた。それだけじゃなくて、mymizu全体での削減数も見れて、みんなで一緒に取り組んでるという一体感が見せられたらいいなと。

 

ーやっぱりインセンティブは大事ですよね。やりがいを感じられる。

 

Robin:そうそう。だから今はポイント制とかもちょっと考えていて。何本削減するとレベルアップしていくような。

 

Mariko:あとは、ペットボトルだけじゃなくて、節約のために給水してるっていう人も結構多いっていうことも分かったり。元々は節約から始まったけど、そこからエコのことを、地球のことが気になってきた、っていう人もいます。逆もあったりして。特に学生とかは1日1本買ってたら…

 

ー週に1000円くらいはかかりますものね。

 

Mariko:そうなの。それが可視化できる。それに加えて二酸化炭素。これは東大が出している数字を元にしてるのだけど、自販機で売られている1本のペットボトル(水〔ボトルドウォーター〕の場合)で大体341gのCO2をライフサイクルで出す、と。普通に給水するだけだったら8g、その分を引いて333gが削減できたよ、という計算で、削減できるのはプラスチックだけじゃないよ、というのを見せていく。あとは水分補給気にする人のために何L飲んだかもね、トラッキングしています(笑)。一応、今年はオリンピック・パラリンピックもあって、国内外から多くの人が集まるから、このムーブメントを盛り上げるためにはゴールを設定しようと。今は100万本のペットボトルを削減記録することを目標にしてます。

ーちなみにユーザーはどういう方が多いのでしょう?

 

Robin:6~7割は女性で、年齢で言うと20~30代が一番多いです。

 

Mariko:より詳しく言うと、学生や若い社会人の人で、留学とかをきっかけにエコに興味を持って、日本の今の消費のあり方に疑問を感じていて使い始めてくれた方。他には元々環境系の活動に取り組んでる方で、こういうアプリをずっと待ってました、という方とか。あとはスポーツ好きな人。ランナーや自転車をやってる人は走りながら水分補給が必要なので、知らなかったところでお水を汲めるっていうのは喜ばれています。

 

Robin:あとは意外かもしれませんが、50~60代の方にも受けがいいんです。

 

ーへえ!

 

Robin:彼らと話していると、20~30年前まではミネラルウォーターを買う習慣はなかったと。急にマーケットが伸びたんですよね。元々はなかった。それを取り戻すというか、本当に必要なのかって考え直して、選択するって大切だなと。

Less plastic, more fun!

ー話が戻りますが、環境問題や気候変動って本当に幅広いですよね。その中でもなぜmymizuという形を選んだのですか?

 

Robin:mymizuを始める前は国際機関で環境問題に関する仕事をしていました。気候変動ってものすごく大きな問題で、一般の人からすると大きすぎて何もできない、と思ってしまうことを知ったんですよね。そこで考えたのが、もしペットボトルを1本削減できたら、色々なところでマインドセットが変わるきっかけになるんじゃないかと。なので、わたしたちが狙っているのはペットボトルを削減するだけでなく、もっと大きな消費行動を変えるということがミッションなんですね。大きな問題をシンプルに始めてみよう、というのがmymizuの始まりです。

 

Mariko:わたしはSocial Innovation Japanという(mymizuの)運営団体の方でサーキュラエコノミーの活動などをしてるんですけど、企業と消費者との間にギャップがあることを感じています。企業向けのワークショップをしていると、「消費者が変わらないと、自分たちも変われません」というような声があったんですね。それを聞いて、そういう(エコ思考の)消費者がいることが本当にまだ知られていないんだなと。私たちとしてそういう消費者の存在を可視化していくこと、そしてそれを広めることができないかな、と思って。ちょうどペットボトルの削減は、一番身近で簡単にできることだし、実際にマイボトルを持ち歩くと、他の人への影響へもあるから、そこから企業の耳に届く消費者の声を生み出していけるのかなと。

 

Robin:あともう一つは今まで環境問題を含む持続可能性について話すと、どうしても何かを犠牲にすることが多いと思うんですね。例えば、CO2を削減するために、肉を食べない、海外旅行はしないとか。そういう話も大事だと思うんですけど、もう少しポジティブに楽しくできないかというのがmymizuが大切にしている部分です。Less Plastic, More Fun. 楽しむことが大事かなと思います。

 

Mariko:魅力的にしないと誰も変わらないのかな。これはだめだからこっち、っていうのじゃなくて。

Robin:こっちが魅力的だからこっちをやろう。

 

Mariko:だからこそ、わたしたちもコミュニケーションに結構力を入れていて。なるべく楽しく、みんなが憧れるような世界を作れたらいいなと。

 

ー素晴らしい。エネルギーも水もどちらも見えにくい・分かりにくいっていうのはすごく似てるなと思います。

水もエネルギーも、身近過ぎて分かりにくい?

Taichi(自然電力):電気はとくにハードルが高いですね。電気って、最近色々な人に言われるけれど、ガソリンと一緒というか、原産地や由来が見えないし、違いもほとんど無いから、結構安きに流れるというか。

 

Mitsutaka(自然電力):そうそう、見えない。この空間でもいっぱい使ってるけど、使ってる感覚すらなくて。息してるのと一緒ですよね。そんな(普段使っていることすら意識していない)電気を変えてみませんか?と言われても、すごく難しいですよね。mymizuのように、生活の中の分かりやすいものと接点を持っているみなさんとのパートナーシップは、電気に興味を持ってもらうきっかけとして非常に重要だと思っています。

Mariko:本当にそうですよね。第一歩ということで、ペットボトルってすごい分かりやすいから、まずはそこから考えてもらう。わたしたちも、その次のステップにいってもらいたいので、こういうパートナーシップを通じて、「次にこれもできますよ」という選択肢を伝えたい。一度、環境のことや自分にできることを考え始めたら、今まで気づかなかった色々なことが見えてくると思うんですよね。

 

ーまずはきっかけですね。

最終的に目指すのはmymizuがいらない世界

ー今年の100万本削減という目標以上に、さらにその先、5年後10年後のビジョンや、目指したい世界のイメージはありますか?

 

Robin:すごくシンプルに言うと、「サステナブル消費」とか「持続可能な消費」っていうことばがあるじゃないですか、こういう言葉がなくなった世界。全ての消費がサステナブルになっていて、それを当たり前にするっていうのが、一つの大きなビジョンとしてあります。

 

Mariko:それこそ今のmymizuの形が残る必要のある世界ではあってほしくなくて。わざわざ啓蒙したりする必要がなくなってると嬉しいな。

 

Robin:mymizuがいらない世界!簡単に言うと(笑)。

Mariko:マイボトルを持つこと、自然エネルギーを使うこと、それが普通。それがノーマルで、それ以外の選択肢は例外。ペットボトル持ってる方が「え、どうしたの?」「何かあった?」みたいな。

 

一同:(笑)

 

Mariko:そんな世界になっててほしいなと。

まずは体験してみる、そして考えてみる

ーそうすると、お二人の活動も水やペットボトルからどんどん広がっていきそうですね。少し話が逸れますが、うちの会社のpurpose(存在意義)やvison&actionを去年整理したんです。そして出てきたpurposeが「青い地球を未来につなぐ。We take action for the blue planet.」。そのために、今現段階でわたしたちがやっているのは「自然エネルギー100%の世界を共につくる」ことだよね、という整理で。エネルギーはあくまで「青い地球を未来につなぐ」ための手段なんです。お二人にとって、未来につなぎたい青い地球はどんな地球ですか?

 

Mariko:わたしにとっては、豊かな自然を代々楽しめる、人間は地球の一部だっていうのが続く地球ですね。海がきれいで、森がきれい、山もきれい。人間にもそれが楽しめるし、もちろん動物にとってもそれが残っていることがイメージかな。

 

Robin:これ、よく考えるんです。簡単に自分のblue planetをお伝えすると、ちょっとヒッピーな考え方かもしれないけれど、人類と自然って別のものだと思われていると思うけど、わたしは人類は自然の一部だと思ってるので、それを意識して人と自然環境とがうまく共存できるような社会かなと。具体的には海とか川とか色々とあると思うんだけど、根本的なところでうまく共存できるような社会かなと思ってます。

 

Mariko:わたしたちは消費っていうのに取り組んでるけど、一番ひどいのはやっぱり大都市。一番自然から離れているところなんですね。自然との繋がりを思い出して、喜びだったり、感覚を取り戻さないと、なかなか消費や環境への意識は変わらないよな、というのも正直あって。この前、ちょうどコスタリカに行く機会があったんですけど、普通にジャングルの中で一人で歩いている時間があって。「わたしこの時間が一番幸せかも」って。それってすごく大事な経験ですよね。

 

Robin:我々がmymizuを始めた直接のきっかけも沖縄への旅行だったんですね。宮古島にはとても綺麗なビーチが沢山あったんですけど、ちょっと離れたところに行ったら大量のゴミが捨ててあったんです。プラスチックのゴミが多くて、特にペットボトル。それを見て、「これはやっぱりおかしいんじゃないか」って素直に思ったんですね。そこでmymizuのアイデアが生まれたんですけど。沖縄での経験がなかったら、生まれなかった。

ー結構色々なところのですね。

 

Robin:海外のものも多く見えますが、日本のものもしっかりあります。

 

Mariko:日本の河川を調査しているアドバイザーの方からも聞きましたが、日本国内から流れ出ているものも実は多いんです。海外から流れてくるものが多いんじゃないの?ってよく言われるんですが、国内からも大量に出てる。

 

(2018年度の全国川ごみネットワークの調査によると、国内河川でのごみ推測量は飲料ペットボトルで約4,000万本に上るそうです。

参照:https://kawagomi.jp/2019/03/2018mikke_kekka/

 

ー誰が悪い悪くないの問題ではない、現代生活を送るほぼすべての人の問題ということですね。それにしても、やっぱり実際に体験するって本当に重要なきっかけですね。

Mitsutaka(自然電力):サーフィンしていると海の中でもゴミは本当に多いですよね。取れるだけ取るけど。一番多いのはペットボトルで、洗剤とか飲み物系が多いですね。

 

Mariko:サーファーだったら、毎日のように目にするもんね。そういうので関心を持ってくれる。

 

Mitsutaka(自然電力):それでやっぱり関心を持ち始めると、自分の普段買ってるペットボトルとかも気になり始めるみたいで。(海洋プラスチックゴミの点から見て)サーファー仲間でも、コンビニで買ったコーヒーをわざわざマイボトルに移したり、プラスチックのペットボトルを何回か使いまわしたりしてる人もいる。

 

ーさっきの50~60代の方との話にも繋がるけど、何事も慣れな気がしますね。

 

Mariko:そうそう習慣。わたしもペットボトルは1年以上買ってないです。

今日、できることからやってみよう!

ーmymizuはアプリがあるから分かりやすいですが、読者のみなさんが今すぐできるアクションと言えば…(笑)。

 

Mariko&Robin:まずはダウンロードしてみてください(笑)!

 

Mariko:マイボトルを持ってるなら、それを使って早速給水生活を始めてみる。持ってなければ、お気に入りのボトルを買ってみてください。慣れると気持ちがいいし、楽しいですよ!

 

ーあー楽しかった。今日はありがとうございました!ぜひこれからも一緒にやっていきましょう。

小さいかもしれないわたしたち一人ひとりの行動の積み重ねが、消費者の声となって企業に届き、消費の仕組み自体が変わる大きなきっかけとなります。

 

そして電気についても、少しでも気になったら「mymizuでんき」ホームページをチェックしてみてくださいね!

 

mymizuでんき:https://www.mymizu.co/denki

mymizu:https://www.mymizu.co/

 

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mymizuはペットボトルの使用を削減することをミッションにした、全世界で無料で給水できる場所を簡単に探せるプラットフォームです。企業との共同事業や教育事業を通して持続可能な社会を目指すムーブメントを巻き起こしています。
https://www.mymizu.co/

使い捨てプラスチックの消費や自宅のエネルギー等、一人一人の行動は必ず大きなインパクトに繋がると信じています。
自然電力さんのミッションに共感し、共に「青い地球」を実現していきたいと思います。

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