みんなのアイデアとアクションを集めて自然エネルギー100%の世界を目指す自然電力が、NPOグリーンズと一緒にやる理由

この特集はgreenz.jpと自然電力が共につくっています(greenz.jpより転載)

 

福島第一原発事故から6年半がたち、電力小売り自由化から1年半がたとうとしています。

グリーンズではこれまでもわたしたちエネルギープロジェクトなど、未来に向けてエネルギーについて考えたり行動する取り組みをしてきました。でも、実際のところ自分の暮らしが大きく変わったという実感はないのではないでしょうか。

そこで、グリーンズでは新たに、自然エネルギーの発電所の開発から小売事業まで行っている「自然電力」と組んで自然エネルギー普及のための取り組みを進めることにしました。

その取り組みの一つとして、新連載「みんなで自然エネルギー100%の世界をつくる」が今回のキックオフ対談から始まります。でも、それで本当にわたしたちは、社会は、前に進むことができるのでしょうか。すっかり懐疑的になってしまっている一般人代表として、自然電力代表取締役の磯野謙さんと、greenz.jp編集長の鈴木菜央に話を聞いてきました。

(左)磯野謙(いその・けん)
大学卒業後、株式会社リクルートにて、広告営業を担当。その後、風力発電事業会社に転職し、全国の風力発電所の開発・建設・メンテナンス事業に従事。2011年6月、自然電力(株)を設立し、代表取締役に就任。主に地域産業と連携した事業開発を担当。2013年1月juwi(ユーイ)自然電力株式会社設立後、同社取締役も兼務。長野県生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。コロンビアビジネススクール・ロンドンビジネススクールMBA。
(右)鈴木菜央(すずき・なお)
NPOグリーンズ代表/greenz.jp編集長 76年バンコク生まれ東京育ち。2002年より3年間「月刊ソトコト」にて編集。独立後06年「ほしい未来は、つくろう」をテーマにしたWebマガジン「greenz.jp」創刊。千葉県いすみ市在住。家族4人で35㎡のタイニーハウス(車輪付き)に住んで、暮らしとコミュニティづくりの実験中。著作に『「ほしい未来」は自分の手でつくる』(講談社 星海社新書)。

未来への責任感が自然電力につながった。

本題に入る前に、自然電力がどんな会社で、磯野さんが何をしている人なのかを改めて聞きました。

磯野 そもそも自然エネルギーに興味を持ったのは、就職前の半年をかけて世界のあちこちを旅して回っていたときのことでした。アジアやアフリカや南米の国にもたくさん行き、知らなかった世界に触れて楽しかったんですが、同時に自分の知らなかった問題がたくさんあることにも気づきました。

自分にとっていちばん思うところが大きかったのは、ベネズエラの離島の美しい自然が、石油資源などの乱開発によって破壊されていってしまっていたことでした。僕は長野やカリフォルニアという自然が身近にある環境で育ったので、そうやって自分が美しいとか楽しいと思っている場所がなくなっていってしまうのは嫌だなと。

そこから、より多くの人がこの地球上で豊かに暮らしつつ、一方で雄大な自然を守るにはどうしたらいいんだろうという問題意識が生まれ、その結果、一人ひとりの環境負荷を小さくする方法について考えるようになりました。

その方法はいろいろあると思うんですが、たまたま学生時代の後輩が風力発電のベンチャー企業でアルバイトをしていて、環境に優しいだけでなく、売り上げを上げれば上げるほど社会的価値を生むなんてこれはすごいビジネスだなと思い、風力発電の会社に入ることにしたんです。

菜央 そこから独立して会社をつくったのはどういう経緯があったんですか。

磯野 自然エネルギーの業界に入ったのが2006年だったんですが、その頃はまだ、自然エネルギーの重要性は日本ではあまり認められておらず、風力発電についても反対運動があったりもしました。

そういったこともあり、日本国内で自然エネルギーは広まらないのではないかと思い始めていました。一方でヨーロッパを中心に、世界では既に自然エネルギーが普及し始めていたので、海外で事業を始めようかと考えていたのが、ちょうど2011年の3月くらいでした。

菜央 3月11日は、なにしてました?

磯野 その日は東京にいましたね。すごく揺れましたけど、自転車だったので困ることはなかったです。翌日か2日後くらいから原発事故の話が出てきて、その大きな問題に対して自分は何もできないという無力さを感じました。

ただ、原発事故のニュースを見ていく中で、誰が未来に対して責任を持つのかが不明確だと思い始めたんです。事故があって、誰がそれにどう対応するのかを決めて、誰がその次のソリューションをつくるのか、それがはっきりしていなかった。その先を描くのは誰なのかというのを一番疑問に思いました。

それで、自分たちの未来には自分たちで責任を持たないといけない、誰かのせいにしていても仕方がないと本当に強く思うようになり、3ヶ月後には同じ会社で働いていた2人(同じく自然電力代表取締役を務める川戸健司と長谷川雅也)と会社をつくっていました。

菜央 誰が責任を持つかというのは、具体的にどういうことですか。

磯野 たとえば、責任をとるというと、辞める、ということがひとつの形としてあると思うのですが、何か問題が起きても、自分たちでやりつづける覚悟を持つことが大事ではないかと考えています。

だから僕たちは、決めた期間は自分たちが責任を持ってやりつづけると決めました。それで、志を共にしてくださる投資家を集めたり、地域を大事にするなど、長期的な目線を持って事業をやろうというところに行き着いたんです。

菜央 たしかに、あらゆる局面で大きなシステムに対して誰も責任を取らない状況が日本の隅々まで浸透していると感じますね。構造があまりに巨大なために、自分が無力に思えることで生まれる「他人ごと社会」。そこでは、「向こう側」に状況をコントロールする力が生まれて、そこにいる少数の人たちが好き勝手なことができてしまう。それが問題じゃないかと思うんです。

磯野 規模の大きな問題や組織となると、自分に何ができるのか分かりづらくなってしまうというのはあると思います。でも、実際は国も会社も個人の集合体で、政治家を選ぶのも一人ひとりの国民ですし、会社に属するのも一人ひとりの意思決定の結果です。集団になると自分ごとではなくなり無責任になってしまいがちですが、本来は一人ひとりが自分の選択を自覚すべきだと思います。

そういう意味では、一人ひとりが自分にできることをやる、ということが、未来に対する責任の取り方なのかなという気がしていますね。その中で自分にできることは、風力発電事業のノウハウを活かして、自然エネルギーを増やすことだと思い、そうしたタイミングが重なって起業に至りました。

 

自然エネルギー100%の世界とは?

自然電力は、ドイツの企業(juwi / ユーイ)と合弁会社(juwi自然電力、juwi自然電力オペレーション)をつくるなどして、日本の各地に自然エネルギーの発電所を建設し、自然エネルギー100%の世界を目指してきました。しかし、自分たちだけではその世界は実現できないと、たくさんの人の参加を促すことで、自然エネルギー100%の世界を実現しようと考えています。ところで、自然エネルギー100%の世界とはどのような世界で、どうすれば実現可能なのでしょうか。


菜央
 自然エネルギー100%の社会を目指すために、小売事業を始めたということですが、電気をつくる部分ではなく、売る部分に進出したのはなぜですか。

磯野 電力業界には、発電、送配電、卸売・小売という3つの事業があり、僕らがこれまでやってきたのは発電事業です。ただ、自然エネルギーの発電所を今後さらに増やしていくためには、最終的にユーザー側の自然エネルギーへのニーズが不可欠です。

どんなものも、「ほしい」人が増えないと、総量は増えないですよね。だから、発電所をつくると同時に、電気をつかう人と接点をもち、エネルギーのことを一緒に考えたり、自然エネルギーについて知ってもらったり、その結果として、自然エネルギーを選択してもらうことができるよう、小売事業を始めました。

菜央 それはつまり、どんなに頑張っても、自然エネルギー100%の世界は発電事業だけでは実現しないってことですよね。

磯野 電気は目に見えないし、どのようにつくられた電気なのかということは使う側にとってはなかなか知りえない世界ですよね。なので、そこをつなぐために、自分たちでつくった発電所から電気を届けたり、自然エネルギー由来の電力を売ったりすることが大切だと考えました。

日本のエネルギー自給率はわずか6%と言われていますが、自国のエネルギー源のほぼすべてを外国から輸入しているという状態はやはり問題だと思いますし、それを一人ひとりがまずは知って、その上でなにができるか考えられたらいいですよね。その時に、自然エネルギーを選ぶことができるということが重要と考えています。

菜央 自然エネルギーを増やすことが重要なのは確かですが、自然エネルギー100%になったらいったいどうなるんですか? どんな魅力的な未来が待っているのかわかれば、それを選ぶ人も増えてくると思うんです。

磯野 まず、地球レベルの視点では、二酸化炭素排出の削減により、地球温暖化の抑止につながりますよね。気候変動の問題は、日本にいても感じるところですが、世界規模ではその問題により生命の危機にさられている人たちもいます。

国レベルでは、日本など、化石燃料の資源に乏しい国も、太陽光・風力など自分たちの土地にある資源で発電できるようになり、エネルギー輸入コストの低減やエネルギー安全保障にもつながっていくと考えられます。

個人レベルでは、安全性からくる安心とか、きれいな空気、そして気候変動から守られる自然などを暮らしの中で感じたり、楽しんだりできると思います。自分たちの子どもや孫の世代にも、そういう暮らしを守っていけるというのも大切ですよね。

そしてなにより、エネルギーが身近になると思うんです。エネルギーと言われても今はピンと来ないかもしれませんが、将来的には、個人や地域で太陽光や小水力や風力で発電し、蓄電池にためて使うという仕組みが実現していくでしょう。その時には、自分たちがつかうエネルギーを自分たちで生み出したり管理したりできる社会になると思っています。大規模な送配電網も不要になる時代が来るかもしれません。

菜央 それは、中央集権の巨大なシステムから、地域や個人に分散したシステムになっていくということですよね。そうなると、経済的にも中央にお金が集まって、たとえばそこから中東など石油産出国に流れていく、という状態から、地域でお金が回る状態になりますよね。今、石油産出国を富ませているお金が地域にとどまることになれば、地域がちゃんと豊かになっていくはずです。

それに雇用についても、グローバルでの様子を見ると増えているようですね。つまり、自然エネルギーの普及は単に使うエネルギーが変わるだけでなく、社会全体の仕組みを変えることにつながる、そのための取り組みの第一歩が小売事業ということなんですね。

石油から自然エネルギーへ、マスメディアからインターネットへ。

自然エネルギー100%の社会がそんなに素晴らしいのなら、なぜ自然エネルギーの普及は遅々として進まないのでしょうか。私たちは、現在のエネルギー構造に特に不満もなく暮らしています。このような構造ができ上がったのは、それが求められていたからで、どうしてそれを今問題視しなければならないのか。そのあたりがよくわからなかったので、もう少し深く聞いてみました。


菜央
 もともと日本には地域ごとにたくさんの小さな電力会社があったそうです。それが関東大震災をきっかけに5つに集約され、さらに1939年、戦争に勝つという名目で、たったひとつのほぼ国営企業「日本発送電」に統合した。それが戦後長く続いた9電力体制につながっていきます。

磯野 戦後の日本というのは、社会的に分業体制が敷かれていて、たとえば、エネルギーを供給する会社が安定して供給すれば、自動車会社も安定的に製造できて、それを安定的に輸出することができるという構造だったと思うんです。だから中央集権が一番最適なシステムだったんです。そのおかげで日本は経済的な成長をしましたし、その当時はそれが理に適った選択だったんですよね。

菜央 産業的にも、日本の中心は重厚長大産業からクリエイティブ産業に切り替わってきていて、そこでは中央集権は必要なくなってくる。

磯野 もう少しさかのぼると、約200年前の産業革命の時に石炭でエネルギー革命が起きました。これによって工場の生産性が上がったのはもちろんですが、蒸気機関車が生まれてロジスティックスが変化し、蒸気印刷機の登場によって新しいメディアが生まれました。

それが20世紀になると石油に変わって電化が進み、電気で動かす工場が大量生産をし、自動車によってまたロジスティックスが変化して、電話、ラジオ、テレビによってコミュニケーションも変化しました。

限界費用ゼロ社会(ジェレミー・リフキン著)』という面白い本があります。そこで言われているのは、エネルギー・コミュニケーション・ロジスティックスの3つが変わると産業構造の全てが変わるということで、今まさに自然エネルギーとインターネットと自動化によって、20世紀型のモデルから産業構造全体が変わろうとしていると言えると思います。

20世紀型のモデルの何が問題かというと、電力はグローバル価格なんです。石油や石炭は世界中で同じ価格なので、所得にかかわらずエネルギーの料金は同じ。そうすると、生活費に対するエネルギーコストは所得が少ない人ほど大きくなります。それが貧困を生み出す1つの要因です。

でも、自然エネルギーの場合、大きいのは初期コストだけなので技術革新が進んで値段が安くなっていくと、所得が少ないところでもエネルギーコストの割合を小さくできるはずです。そうすると、今まで石油産出国に流れていたお金を自分たちのために使えるようになる。

インターネットではすでにそのようなことが起きていて、それがこれからエネルギーにも起きると考えています。

菜央 たしかにインターネットで考えるとわかりやすいかもしれないですね。インターネット以前と以後では情報の流れのみならず、社会構造そのものが変わりましたよね。グリーンズもその恩恵に預かっていると思うけど、起業のハードルも下がったし、小さな存在がお客さんを見つけやすくなった。関心でつながるコミュニティをつくることも簡単になりました。インターネットの普及で新しい職業、産業も生まれた。

自然エネルギー化も、一部の業界で閉じていた利益を市民に開くという意味でインターネットに近い気がしますね。インターネットが日本で始まって25年くらいですけど、同じような変化がこれからエネルギーでも起きるはずだし、エネルギーを職業にする人もどんどん増えてくるんだと思います。

さらに言えば、インターネットが情報を分散化したように、電力もインターネットの回線に乗せて分散型でやり取りしようという取り組みも始まっていて、エネルギーが本当にインターネットのようにありとあらゆるところでピアツーピア、つまり対等な立場でやり取りされる未来がやってくるかもしれない。

グリーンズも自然電力も、真ん中を埋める存在になりたい。

インターネットが普及するように自然エネルギーが普及したら、たしかに面白そうです。でも、インターネットにも問題があるように、自然エネルギーも普及していく過程で新たな問題が生まれてくるのではないか、そんな疑問も湧いてきます。その中でより良い未来をつくるために、グリーンズや自然電力が何をしようとしているのか、聞いてみました。

菜央 たしかにインターネットは広く普及しましたが、それによって僕らをとりまくメディア空間は、ある意味で混乱状態にあると思います。個人がメディアになれる可能性が広がったと同時に、マスメディアがまだまだ力をもっている。

結果として、中くらいのサイズのメディアが極端に少なく、多様性が少ない。そういう状態を生態系として捉えると、健康的な対話や議論が起きにくく、社会的合意が形成されにくいと思います。

そういう意味で、個人と社会の橋渡しをして、つなげる存在が必要で、グリーンズはそれを目指しています。もしかして自然電力も、エネルギー分野で同じように橋渡し役になろうとしているのでしょうか? と感じました。

磯野 それはその通りで、太陽光の買取制度でも、すでに発電所の品質の問題が起きていますよね。だから僕らは最初から電力をちゃんと供給する責任を重要視して、ドイツの会社と合弁会社をつくり、既に実証されているシステムを日本に導入したりしています。

変革期というのは新たな問題が発生する時期でもあるので、自然エネルギー業界という新しい産業と個人とをつなぐ役割というのは非常に重要で、僕らがそうした存在になりたいというのはあります。

菜央 日本の各地で大きな太陽光発電所が地元との軋轢を生んでいる問題は、自然エネルギーだから良い、というわけではなく、その成立までのプロセスがとても大事だということを表してますよね。地元の人たちと共につくっているか、とか、地元の未来に資することができるか、とか。

磯野さん 規模やプロセスの問題もあると思いますが、前提にはグローバルとローカルの環境問題への認識の衝突があるのかもしれません。

グローバルな気候変動の話とローカルな景観や騒音の話の衝突は常に起きていて、それを解決できる人というのが絶対に必要になってきます。グローバルな環境問題を解決するために風車をつくることが必要であっても、それが地域に受け入れられるかはローカルの環境問題で、それをつなぐ努力が重要だと思います。

今の太陽光発電事業の問題は、グローバルとローカル双方の視点を取り入れた計画が少ないことだと思います。僕らは自治体とゾーニング(「社会経済性」「景観」「動植物の保護」など、発電所設置によって生じうる影響を様々な観点から精査し、発電所設置に適した場所を決定すること)を行う専門家も採用し、積極的にグローバルとローカルの環境問題をつなごうとしています。

そしてそこで重要なのは地域の課題やその本質を見抜くことで、そのためには地元に入りこんで、たとえばそこで生活するなどしてみなければわからないこともたくさんある。そこまでやりきれる人というのはあまりいないんです。

菜央 そういう存在が増えていけば、グローバルな問題と私たちの暮らしがひとつながりになることにもなるんですよね。そういう存在をいかに増やしていくかが課題ですね。

 

私たちにできること、何とどうつながればいいのか。

分断している社会や問題をつなげること、それがグリーンズと自然電力がやろうとしていることだということはわかりました。では、その中で私たちは個人として何ができるのでしょうか? 自然電力から電気を買うことにしてみたところで、そこに社会の変革に参加している実感をみんなが得られるとは限りません。はたして私たちには何ができるのでしょうか?

磯野 まずは電力会社を選ぶことでしょうね。今は、この電気はどこから来るんだろうとか、どんな人がつくってるんだろうということを考えて選べるようになりました。だから、やはり自分はどういう電気を買いたい、つかいたいのかを考えることが第一歩だと思います。

菜央 それはそうだとしても、そこから先、関心はあるし参加したいけど場が用意されていないという行き止まり感に対しては、自然電力としてはどんなことができると思いますか。

磯野 僕らの会社が発電事業と小売事業の両方をやることによって、新しい挑戦とそれがもたらす変化を個人の皆さんにも見せられるようになります。自分たちで自然エネルギーを増やしていく、一緒に新しいエネルギー社会へ進んで行っている、という感覚を共有することはできると思うんです。

菜央 それがまさにグリーンズが一緒にできる部分で、それこそみんなでどうやって自然エネルギー100%にしていけるか考える場をつくっていくことだと思うんです。

グリーンズの寄付会員「greenz people」のエネルギー部の活動でも、自然エネルギーを増やすにはどうしたらいいかってことを話していて、その中で、今の自分の家の自然エネルギー比率が手元のスマートフォンでわかったらいいんじゃないか。そうすると早寝早起きすると自然エネルギー比率が上がっていくわけで。あとはみんなの自然エネルギー比率も見えたらいいよね、とか。そういうアイデアが出ています。

そんなふうに、みんなで考えた仕組みを自然電力が実装していくことができれば面白いんじゃないか。グリーンズが目指してることは「ほしい未来は、つくろう」ということで、それは傍観者ではいられないという意味でもあって、つくり手側に回ると人生豊かになるしポジティブな変化が世の中にも起きて自分にも返ってくるということです。

その具体的なアクションが、自然電力とパートナーを組むことでできる可能性を感じているんです。エネルギーというあまりにも大きくて行き止まり感があるものに対して、コミュニティの力で、一人一人の努力で実現できる範囲を超えて、社会に影響が与えられるんじゃないかというワクワク感がある。それがグリーンズが自然電力とやっていきたいモチベーションなんです。

グリーンズの寄付会員「greenz people」のエネルギー部
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磯野 もともと閉じられていた産業が開かれていくとき、一人ひとりのアイデアや意見が非常に大事になってくると思うので、グリーンズと一緒にコミュニティづくりを通して新たな変革のきっかけをつくりたいというのはそのとおりです。

最初は時間がかかると思いますが、どこかで加速していくためには新しい電力会社の仕組みを考える必要があるので、率直な意見を交換できるようなコミュニティづくりはそのために重要なポイントだと思っています。

菜央 自然電力は、「自分たちだけでは自然エネルギー100%の世界はつくれない」って言ってるわけですが、その考えは面白いし、本当にそうだなと思っていますが、まさにみんなの参加が必要な部分で、一人ひとりができることなんじゃないかと思います。

みんなの言うことに耳を傾ける電力会社ができるなんて思ってもいなかったので、それが嬉しいですし、今までにないチャレンジになると思います。エネルギーっていま一番みんなの熱量が溜まっている領域じゃないかなーと思うんです。

自然エネルギーが増えたらいいと思いつつ、なにをしていいかわからないわけで、自分なりに答えを出したいとか行動したいと思っている人がたくさんいると思うんです。その出口が今まで用意されていなかったのが、電力小売り自由化できっかけができて、その先の道が開かれたわけで、そこで個人の努力が集まることでただ足しただけじゃないもっと大きな変化が起きるチャンスが来ていると思います。

今変わらなかったらいつ変わるんだ、行き止まり感はあっても道は開かれているよ、っていうのが僕がいいたいことですかね。

(対談ここまで)

どうですか? エネルギーの未来にワクワクしてきましたか?
2人の話を聞いて、もう変化が起きつつあるということはなんとなく納得し、それならば、その変化がいい方向に行くように自分にできることをやろうという気持ちになれたのではないでしょうか。

何十年もブラックボックスの中だったエネルギーの問題について、全ての霧が晴れるのは簡単ではなさそうですが、だからこそグリーンズと自然電力がパートナーとしてやっていく意味があるわけです。

最後に、鈴木菜央にこの連載について話してもらいました。

自然エネルギー100%の社会はみんなに力がもたらされる社会で、そういう意味で明るい未来なんですが、先の世界がどういう世界かはまだわからないわけです。それをいろいろな人に会いに行って話を聞くことで見える化して共有できたらいいなというのが連載の最大の目的です。

そのために伝えたい事は大きく分けて2つあって、1つは自然エネルギーが増えていった先の世界の風景について。僕らの暮らしはどうなるのか、たとえばどれくらい戦争が減るのかという大きな話も含めて。もう1つは、すでに一歩先に行ってエネルギーを暮らしの一部として楽しんでいる人たちの話。

この2つがあることで、僕たちが進んでいくべき道が見えてきて、行き止まり感みたいなものが解消されていくんじゃないかと思うんです。それは、グローバルな課題と自分の暮らしがあまりにもリンクしないという大命題に対する一つの返答でもあると思うので、連載を通じてそこをつないでいきたいですね。

そういうわけで今後、自然電力とグリーンズは、自然エネルギー100%の世界を目指して、さまざまなレベルで協働していきます。連載のみならず、ワークショップ/イベントの開催、コミュニティづくりなど、さまざまな取り組みを通じて、できるだけたくさんの人が参加できる場をつくっていきたいですね。

繰り返しになりますが、自然電力は「自分たちだけでは自然エネルギー100%の世界はつくれない」と言っています。なんといっても、みんなの参加が重要です。

具体的に参加する方法としては、11月8日にローンチした電力サービス「自然電力のでんき」に切り替えて、この大きなムーブメントに参加してほしいな、と思います。

ライター:石村 研二
greenz シニアライター。東京生まれ。大学の法学部を卒業するも、法律に向いていないことに気づき、長いモラトリアム期間を過ごしながらひたすら映画を観る。 2000年にサイト「日々是映画」を立ち上げ、書くことを仕事にすべく駄文を積み重ねる。現在、ライター/映画観察者。暮らしと社会の間の様々なトピックについて記事を執筆。2016年には「ソーシャルシネマを楽しむウェブマガジン“ソーシネ”」を立ち上げ。暇なときはSFを読んで未来への希望を見出そうとし、世界は5次元だと信じている。

※この記事はgreenzに2017年11月8日に掲載されたものを転載しています。

 

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