科学の専門性で気候変動問題に貢献する! IPCC

科学の専門性で気候変動問題に貢献する! IPCC

気候変動が深刻な状況にあります。気候変動やそれに伴ってもたらされる自然災害は、地球環境はもちろんのこと、私たちの生活にも多大な影響を及ぼしています。この問題の解決に向けて、科学の専門性で大きく貢献しているのがIPCCです。

では、IPCCとはどのような組織なのでしょうか。これまでの成果は? そして、今後、期待されることとは・・・・・・?

IPCCとは

まず、IPCCとはどのような組織でしょうか。

IPCCとは、国連気候変動に関する政府間パネル‘Intergrovernmental Panel on Climate Change’の略です。IPCCは、1988年にWMO(世界気象機関)とUNEP(国連環境計画)のもとに設立された組織で、195か国・地域が参加しています 1)。

IPCCの目的

次に、IPCCの目的は何でしょうか。

それは、各国政府の気候変動に関する政策に科学的な知見を与えることです。その知見には、気候変動そのものだけでなく、気候変動がもたらす影響や、将来、起こり得るリスクおよび「適応策」と「緩和策」に関することも含まれています 1)。

 

ここで、「適応策」と「緩和策」について簡単にお話しします。
地球温暖化対策は、「適応」と「緩和」の2つに大別されます。

まず、「適応策(adaptation)」とは、気候変化に対して自然生態系や社会・経済システムを調整することにより温暖化の悪影響を軽減したり温暖化の好影響を強めたりするものです。例えば、海面上昇に対応するための高い堤防の設置や、暑さに対応するためのクールビズ、作物の作付時期の変更などの対症療法的対策がこの適応に該当します 2)。

一方、「緩和(mitigation)」とは、GHG(温室効果ガス:以下、「GHG」)の排出量を削減したり、植林などによって吸収量を増加させたりするものです。GHGそのものを抑制するための国際的ルールや枠組み、自然エネルギーの推進、省エネルギー、大気中のCO2濃度を軽減する技術などの根本的な対策もこの緩和にあたります 2)。

IPCCは以上のような「適応」にも「緩和」にもコミットするものです。

IPCCの活動

以上のような目的を達成するために、IPCCは世界中の科学者が発表する最新の論文や観測・予測データを、政府の推薦などで選ばれた第一線の科学者たちがとりまとめ、報告書として公表しています。

IPCCは参加国のコンセンサスに基づいて意思決定を行う政府間組織のため、IPCCの各報告書も参加国のコンセンサスによって承認・採択されています。したがって、IPCCの報告書は、各国が承認採択した最新の科学的知見として、大変重みがあり、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)をはじめとする国際交渉に強い影響力をもつものです 3)。

ただし、IPCCは設立以来、政策的に中立であることを前提とし、特定の政策的な提案を行わない、という科学的中立性を重視しています 3)。

 

なお、IPCCが発表した報告書については、これまでの成果として、後ほど詳しくお話ししたいと思います。

IPCCの組織

IPCCは、すべてのUN(国際連合)およびWMOへの参加国に対して開かれた「政府間パネル」という位置づけのため、先ほどお話ししたように、その活動に関する意思決定は、参加国のコンセンサスに基づいて行われます。そうした意思決定の場は、参加各国の代表が出席する「IPCC総会」で、基本的に年2回程度開催されています 3)。

 

IPCCでは、IPCC総会の「ビューロー(議長団)」のもとに、「作業部会(以下、「WG」)」と「インベントリタスクフォース(以下、「TFI」)」が置かれています。

以下の図1は、IPCCの組織図です。

 

図1 IPCCの組織図
出典:環境省HP(2019)「IPCC 2019年方法論報告書(IPCC温室効果ガス排出・吸収量算定ガイドライン  (2006)の改良報告書)の概要」p.20
https://www.env.go.jp/press/files/jp/111522.pdf

 

図1のように、WGは3つあり、WGIは科学的根拠、WGIIは影響・適応策・脆弱性、WGIIIは緩和策に関わる評価を行っています。

国家温室効果ガスインベントリに関するタスクフォース(以下、「TFI」)は、「IPCC国別温室効果ガスインベントリープログラム(IPCC NGGIP)」に関するタスクを負うものです。同プログラムの目的は2つあり、ひとつは「国別温室効果ガス排出/吸収(量)に関する計算/報告に関する、手法およびソフトウェアの開発/改訂をおこなうこと」、そしてもうひとつは、「IPCC参加各国およびUNFCCC批准国に対し上記手法の広範な使用を促すこと」です 5)。

以上のようなWGおよびTFIのそれぞれに、「技術支援ユニット(TSU)」が設置され、それぞれの活動をサポートしています。