世界で広がりゆく砂漠化の原因とは 地球温暖化との関係を知り土地再生に取り組もう

世界で広がりゆく砂漠化の原因とは 地球温暖化との関係を知り土地再生に取り組もう

砂漠化は現在も進行しており、人々が生活する土地を奪う深刻な問題となっています。
砂漠化の影響を受けやすい乾燥地域は地球の地表面積の約4割を占めており、今後も砂漠化や土地の劣化は進行すると予測されています。
この記事では砂漠化の背景と土地を再生するための取り組みについて紹介します。

砂漠化とは 〜砂漠化の要因と地球への影響〜
砂漠化とは

「乾燥、半乾燥および乾燥半湿潤地域における気候上の変動や人間活動を含むさまざまな要素に起因する土地の劣化」
と定義されています。

具体的には、それまで森林だったり農耕地だった土地が、植物が育ちにくい不毛の土地に変化することを指します。

「砂漠」はサハラ砂漠やアラビア砂漠など一年間の雨量が大体200m未満の地域で植物が生育しにくく人間が生活するのも難しい地域と定義されています。1年を通じて雨の降り方に偏りがあるのも砂漠の特徴です。
一般的にイメージされる砂の砂漠だけでなく、土でできている土砂漠や石が多いレキ砂漠、大きい岩石が転がっている岩石砂漠などさまざまな砂漠があります。
そしてこの記事のテーマである「砂漠化」は正常だった土地が劣化して砂漠と似た状態になることです。

砂漠化が起こる背景には、気候的要因と人為的要因の2つがあります。
気候的要因とは干ばつや乾燥などの気候変動です。
干ばつとは長い間、雨が降らないことです。
干ばつを繰り返すことで砂漠化の原因となります。
このような気候変動には、温室効果ガスが原因の地球温暖化や、熱帯雨林の森林減少が高い確率で関係していると言われています。
そのため気候的要因にも、人間活動が関係している可能性が高いのです。

人為的要因には過剰な耕作や開墾、ヤギや羊などの過剰放牧、農地転用や資源採取のための森林伐採などがあります。(図1)

図1 砂漠化の人為的要因
*出典1:環境省 「人々の暮らしと砂漠化対処」(2011)p4
https://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/download/panph.pdf

砂漠化の要因は、気候的要因よりも人為的要因の方が影響が大きいと考えられています。
砂漠化を引き起こす土地劣化が進んでいるアフリカでは人口増加や貧困などによる過耕作や過放牧、アジアでは森林減少がその大きな割合を占めています。(図2)

図2 世界の乾燥地域における土地劣化の原因と面積
*出典2:環境省「砂漠化する地球 -その現状と日本の役割- 砂漠化の原因」
http://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/index_1_3.html

土地劣化が起こると、砂漠化の直接的な原因となる風食、水食、塩害の被害を受けやすくなります。
水食、風食とは雨水や風によって植物が育つのに必要な肥沃な土が流されてしまう現象のことです。
塩害は地面に塩がたまる現象で、植物の成長を妨げる塩を含む土地となることで植物が育ちにくくなります。

そしてこの3つの原因のなかで砂漠化の原因として大きな割合を占めているのが水食です。

特にアフリカのモロッコ、ブルキナファソ、エチオピアなどでは深刻な水食が進んでいます。

水食は森林では発生しにくく森林から農地へ転換した土地で起こるため、過農耕などの人為的要因に分類されます。
また放牧によって家畜が草や木を食べてしまったり、土地を踏みつけることでも水食は起こります。
植物を育てる保水力のある土が流されることで、岩肌がむき出しになり土地が劣化してしまうのです。

図3 水食による土地の劣化
*出典3:環境省「深刻なアフリカの砂漠化」(2010)p2
https://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/download/j_Aggravating_Desertification_in_Africa.pdf

砂漠化は森林の消失と同様に、自然資源の損失や生物多様性へのダメージが大きい現象です。
砂漠化による土地の保水・浄水機能の消失により、さまざまな動植物の生息地が奪われています。

そして砂漠化の進行は自然資源や生態系だけでなく、人々の暮らしにもさまざまな影響を与えます。
生産性のない土地が増えることで、乾燥地域で暮らす人々の生活環境が悪化し、食料危機や水資源不足に陥ります。

図4のグラフによると、アジアの乾燥地域では他の地域と比較しても乳児死亡率が高く、一人当たりのGNP(国民総生産)が低くなっています。

図4 アジアにおける地域別乳児死亡率と一人当たりのGNP
*出典4:JICA 「世界の砂漠化」(2006)https://www.jica.go.jp/publication/monthly/0603/pdf/02.pdf

砂漠化により生活基盤を失った人々は、生存のために新たな資源を求めて森林の過剰採取をしたり、土地や水資源をめぐる対立などの社会的混乱を引き起こします。
結果としてさらなる砂漠化の要因となり、悪循環となっているのです。(図5)

図5 砂漠化の要因
*出典5:鳥取大学乾燥地研究センターHP「砂漠化ってなんだろう」
https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/sabaku_hakase/sabaku04.html

世界で進行する砂漠化

前述の通り、世界の地表面積の41%は乾燥地域で、砂漠化の影響を受けやすいと考えられています。
そして現在世界の乾燥地域の10%〜20%の土地が砂漠化しています。

世界の砂漠の面積はおよそ19〜34億ヘクタールで、図6の濃い赤と薄い赤を合わせた部分です。

図6 世界の砂漠の分布
*出典6:鳥取大学乾燥地研究センターHP「砂漠化の原因・現状」
https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/desert/genin.html

2015年のUNCCD(砂漠化対処条約事務局)の調査では、毎年264万ヘクタールが砂漠化していると報告されています。
これは秋田県と岩手県を合わせた程度の面積に相当します。

次に示す図7は砂漠化の影響を受けやすい世界の乾燥地域の分布です。

図7 乾燥地域の分布
*出典7:環境省「砂漠化する地球 -その現状と日本の役割- 砂漠化とは?」
http://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/download/p1.pdf

乾燥地域とは年間降水量と年蒸発散量から計算される乾燥度指数が高い地域のことで、植物の生育や動物の飼育が難しいとされています。
図7のオレンジ色の部分は既に砂漠化しているか、もともとの砂漠地帯で、雨期がなく人間活動に制限がある極乾燥地域です。

次の図8は世界の土地の劣化を示した砂漠化危険地図です。

図8 砂漠化危険地図
*出典4:JICA 「世界の砂漠化」(2006)
https://www.jica.go.jp/publication/monthly/0603/pdf/02.pdf

土地の劣化はアフリカやアジアをはじめ、世界中で発生していることがわかります。

世界の乾燥地域には約20億人、世界の人口の34.7%の人々が暮らしています。
さらに乾燥地域の10%から20%はすでに砂漠化しているため、乾燥地域に住む人々の1%〜6%は砂漠化された地域に住んでいます。

図9 乾燥地域の現状
*出典1:環境省 「人々の暮らしと砂漠化対処」(2011)p2
https://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/download/panph.pdf

砂漠化は世界の多くの人々に影響を与え、現在もなお進行している深刻な環境問題です。

砂漠化対策と防止技術 〜日本人が取り組むべき支援とは〜

砂漠化防止の国際的な取り組みとして1994年に「砂漠化対処条約」が採択され、1998年からは日本も加盟しています。
2019年の時点で途上国と先進国を合わせて世界の196か国が参加しています。

砂漠化対処条約ではすべての締結国に砂漠化対処の取り組みの報告を義務付け、国際的な取り組みだけでなく住民や地域社会の参加の促進を目指しています。

図10 砂漠化対処条約のしくみ
*出典8:環境省「砂漠化する地球 -その現状と日本の役割- 砂漠化対処条約」
https://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/index_1_5.html

砂漠化対処条約を受けて、日本でも砂漠化対処の取り組みをおこなっています。
具体的には、砂漠化に関する調査・研究と植林や水資源の確保などの技術支援です。

砂漠化した土地を再生させる手法として、砂漠緑化があります。
砂漠緑化をするためには、まず水や風などで砂が移動するのを抑えて植物を根付かせる土地を育てます。

中国内モンゴル自治区では、砂漠化により砂丘が毎年流動化しています。
この砂丘の流動化を防ぎ砂丘を固定するために植林が行われています。
これは自然の回復力を利用した緑化方法で、まずは地下水に近い部分から植栽し、少しずつ高い位置に移動していくことで砂丘を固定し緑化する手法です。

図11 砂丘の固定と緑化方法
*出典9:鳥取大学乾燥地研究センターHP「砂漠化防止と生態系の回復技術」
https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/desert/seitaikei.html

また砂漠緑化には、保水力のある麦わらを使用して砂の移動を食い止め植林する方法「草方格」もあります。
中国内モンゴル地区では日本の一般社団法人の支援により、草方格を使用した砂漠の緑化に成功しています。
図12の左は植栽作業の様子で、右側は5年後の生育状況です。
使用した麦わらは分解され、植物の生育を助ける肥料にもなります。

図12 中国内モンゴル地区の砂漠緑化事例
*出典11:国立環境研究所 環境展望台「砂漠緑化」
https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=97

このように砂漠化した土地の再生には砂防、植栽技術、土壌改良、水管理などさまざまな技術が必要です。

また植林による砂漠緑化はこれまでも失敗例も多く、その土地に適した緑化技術の見極めが重要です。
日本では乾燥地域での生態系保全、再生のための研究が進んでおり、北東アジアの牧草地を対象にどの場所にどの技術を適用すべきかを解析しています。(図13)

図13 北東アジアにおける砂漠化アセスメント及び早期警戒体制(EWS)構築のためのパイロットスタディ
*出典10:環境省「砂漠化する地球 -その現状と日本の役割- 日本政府の取り組み」
https://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/download/p5.pdf

土地の脆弱性を評価し砂漠化指標をモニタリングすることで、砂漠化防止に最適な土地利用や生態系管理計画を提案しています。
砂漠化防止の取り組みはすぐに成果が出るものではないので、長期的かつ持続可能な支援が必要です。

ご紹介してきたように砂漠化が進行している地域は発展途上国であり、貧困により過耕作や過放牧をせざるを得ない状況に陥っています。

過剰な耕作・開拓をした農地で生産されるものは世界中に輸出され、私たち日本人の生活とも深く関わっています。
例えば森林を伐採してつくられた大規模農園で生産されるパーム油は、私たちの暮らしに欠かせないさまざまな製品の原料となって世界各地に輸出されています。

図14 パーム油の用途
*出典12:WWF 「パーム油 私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの」
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/2484.html

砂漠化は先進国に住む私たちの暮らしにも関係があることを忘れてはいけません。

そのため日本をはじめとした先進国は途上国への経済的支援だけでなく、環境に配慮した持続可能な製品の生産を支援することも大切です。
私たちの暮らしにおいても、何気なく使用している製品が途上国の砂漠化と関連性があることをまず知ることが大切です。
持続可能な方法で生産された製品を意識して選択することも結果として砂漠化防止の支援につながります。

まとめ

砂漠化の防止には行政、NGO、国際機関などによるさまざまな支援が必要です。
砂漠化は長期的に取り組むべき課題なので、現地に住む人々の合意と参加の上で実施していくことが重要です。

2015年に採択された国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標15「陸の豊かさも守ろう」では砂漠化への対処と土地の劣化を食い止めることがターゲットのひとつとなっています。
2030年までに砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地の回復に尽力することを目標としています。

砂漠化が進行しているのはアジアやアフリカの発展途上国が主なので、日本に住んでいる私たちにとってはあまり関係のない問題だと感じてしまう人も少なくないかもしれません。
しかし先ほどもご紹介したように砂漠化を引き起こす人為的要因のひとつである農地転用によって、私たちの暮らしに欠かせない製品の原料を生産しています。

さらに気候的要因のひとつである地球温暖化は私たちの生活によって排出される二酸化炭素が原因です。
二酸化炭素の排出はエアコンやテレビなど家庭での電気の使用や、ガスでお湯を沸かす、自家用車の運転など毎日の生活のさまざまなシーンと関係しています。
レジ袋やラップなどすぐに廃棄される製品も工場で、二酸化炭素を排出して生産されています。
先進国で排出される多くの二酸化炭素が世界規模の気候変動を引き起こし、結果として途上国の砂漠化を進行させています。

まずは砂漠化について知り、私たちの消費行動や日常的に使用する製品の生産が砂漠化の要因のひとつとなっていることを意識することが大切です。

そして二酸化炭素を排出しない行動を、今日できることからはじめてみましょう。

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参照・引用を見る
  1. 環境省 「人々の暮らしと砂漠化対処」(2011)https://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/download/panph.pdf
  2. 環境省「砂漠化する地球 -その現状と日本の役割- 砂漠化の原因」
    http://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/index_1_3.html
  1. 環境省「深刻なアフリカの砂漠化」(2010)
    https://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/download/j_Aggravating_Desertification_in_Africa.pdf
  1. JICA 「世界の砂漠化」(2006)
    https://www.jica.go.jp/publication/monthly/0603/pdf/02.pd
  1. 鳥取大学乾燥地研究センターHP「砂漠化ってなんだろう」
    https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/sabaku_hakase/sabaku04.html
  1. 鳥取大学乾燥地研究センターHP「砂漠化の原因・現状」
    https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/desert/genin.html
  1. 環境省「砂漠化する地球 -その現状と日本の役割- 砂漠化とは?」
    http://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/download/p1.pdf
  1. 環境省「砂漠化する地球 -その現状と日本の役割- 砂漠化対処条約」
    https://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/index_1_5.html
  1. 鳥取大学乾燥地研究センターHP「砂漠化防止と生態系の回復技術」
    https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/desert/seitaikei.html
  1. 環境省「砂漠化する地球 -その現状と日本の役割- 日本政府の取り組み」
    https://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/download/p5.pdf
  1. 国立環境研究所 環境展望台「砂漠緑化」
    https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=97
  1. WWF 「パーム油 私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの」
    https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/2484.html