Climate Live Japan代表メンバーが語る、気候変動対策のためにいま若者が動くべき理由 :The Blue Project #9

自然電力は「青い地球を未来につなぐ。」という存在意義を掲げています。この目的を共にする、11人のチェンジメーカーたちがいま考えることを探求するシリーズ「The Blue Project」。第九回は、若者から気候変動の問題解決に向けて行動を起こし、2021年11月に行われるCOP26(気候変動対策の国際会議)に向けて機運を高めるための音楽ライブイベント「Climate Live Japan」の共同代表メンバー、山本大貴さんと小出愛菜さん、田代マホさんが登場。高校生〜大学生が中心となって実施されるこのイベントの先に、彼/彼女らはどんな世界を見ているのでしょうか。

スローダウンが気づかせてくれたこと

――みなさんはどんなときに自然の存在を意識されますか?

小出 疲れたときに自然を欲することがあります。家の近くの森で散歩をしていると自然とつながっている気がしますね。

山本 ぼくは東京に住んでいるので日常的に自然に触れるわけではないんですが、毎年家族と群馬に行くことがあって。今年はクマが出てくるとかアリが多いとか、ぼくにとって非日常なことが現地の人にとっては日常なのかと思うと、自然が近くにある生活が羨ましくなります。

田代 わたしはもともと福島県いわき市に住んでいて、いわきにいたときは川や海で泳いだり山の中を探検したりすることが多かったです。東京にはやはり自然が少ないんですが、お風呂上がりにベランダでタオルを干すときにふと月を見上げたりすると自然を意識しますね。

 

――COVID-19によって学校が休校したり授業がオンライン化したり、みなさんの生活も変わったと思います。自然との向き合い方は変わりましたか?

小出 わたしが森を散歩するようになったのも、コロナウイルスの影響ですね。外出しづらくなったことで、自然を求めてリラックスしたいなと思う機会は増えたように思います。

山本 ずっと家にこもっていた時期が長かったので、5月頃からジョギングを始めました。朝と夜に走っているんですが、日が昇ったり沈んだりするのを見るのは新鮮でしたし、走っていると自然と一体化する感覚があって面白いです。今年も群馬を訪れることがあったのですが、大自然の中に行くと自然自体はそこまで変わっていないんだなと気付かされます。やはり自然は大きいものなのだなと。

田代 コロナウイルスの感染拡大によって車通りが少なくなったことで、セミやコオロギなど虫の鳴き声がよく聞こえるようになりましたよね。社会がスローダウンしたことで、音に重きをおくことが増えていった気がします。


小出愛菜さんは小学生のころから環境問題に関心があったそう。

――COVID-19や気候変動など、自然と人間の関係性は揺らいでいますが、これから両者はどう付き合っていくべきだと思われますか?

小出 コロナウイルスの影響で自然とのつながりを考え直す人が増えて、自然に生かされていることを自覚する年になったと思います。その認識をそれぞれがもっていれば、気候変動への取り組みも進むのかなと。

山本 地球の長い歴史のなかで、いろいろな環境の変化が起きてきた。そこに生きてきた生物はつねに生き延びたわけではなく淘汰された側面もありますよね。人間の都合のいいように自然を変えることなんてできないと思うんです。コロナウイルスも目に見えないし、二酸化炭素も目に見えない。抽象的なものと向き合うことを人間は怠ってきたように思います。でもいまこそ考えないといけない。

田代 コロナ以前ってみんな忙しくてせかせかしていたような気がします。でもコロナウイルスをきっかけに、一部ではフードロスを減らそうとするなど生活を見直す動きが出てきている。身近なところで起きている問題をコロナが終わっても心に止めて行動していくことが重要ですよね。

 

――環境問題は論点が複雑ですが、みなさんはどのように判断をしていますか?チーム内でもよく議論されるのでしょうか。

田代 みんなで話し合うことも多いです。それぞれがやりたいことを挙げてもらってみんなで議論して決定したり。気候変動についての記事を見つけたらLINEのグループに投げて話し合うこともありますね。ほぼ毎日のようにZoomでミーティングしていた時期もあります。

山本大貴さんはCOVID-19を経て改めて自然の大きさを認識したと語ります。

本当の幸せを考えること

――いまから30年後の2050年には、自然と人間がどのような関係を結んでいると思います か。

田代 いまの人間の活動にはいろいろ無駄な部分が多いですよね。モノを大切にするとかもったいないという気持ちが一人ひとりに根付いて自然を思いやれるようになった社会が実現したらいいなと思います。

山本 現代の都市生活にメリットがたくさんあるのは事実ですが、都市部に住んでたまに公園で花を見 るくらいだと「自然」に触れているとは言い難いと思うんです。山や海など大きな自然をみんながいつもどこかで感じられるような社会になるといいですよね。これからは技術で課題を解決するだけではなく、本当の幸せの価値をみんなで考えていくんじゃないかと思います。すべての人が楽しく生活できる社会を実現していきたいですね。

小出 わたしは自然のことも自分のことも思いやれる社会になってほしいです。技術の進歩もスローダウンするだろうし、一人ひとりが自分のことを大切に思えないと他人や自然のことも思いやれない。スローダウンすることで気持ちに余裕が生まれるような社会になってほしいんです。

Climate Live Japanの運営メンバーは高校1年生から大学4 年生まで幅広く、最初は打ち解けるまで時間がかかったと田代さんは語ります。

――みなさんが代表を務めているClimate Live Japanは、まさに未来の世界を形づくっていく取り組みだと思います。そもそも環境問題に関心をもつきっかけはなんだったの でしょうか。

小出 きっかけは地球温暖化のニュースで、小中学生のころから関心がありました。環境問題を解決する仕事に就きたいと思うようになって、NGOのインターンをきっかけに気候変動の問題についてよく考えるようになったんです。でも問題を意識するだけではなく、行動を起こさなければ意味がないと思ってアクションを起こそうと思いました。

山本 ぼくの場合はぼんやりと社会に理不尽なことがたくさんあるなと思っていて。たとえばいじめはわかりやすい例 ですが、被害者も加害者も自覚せずに問題が発生していることもたくさんある。環境問題について知ったのは小学生のころだったんですが、あたかも環境問題が起きることはしょうがないものとして扱われていて、誰が引き起こしたのか語られないことにすごく違和感がありました。そんななかでグレタ・トゥーンベリの姿は強烈で、こういうふうに自分で発言することで人に影響を与えられると気づかされたんです。

田代 わたしは家族がけっこう変わっていて、週に一回必ず家族会議みたいなミーティングを開いて、気候変動のような話題についても小さいころから議論していました。その後東日本大震災を経て東京に来たら、福島にいたときは台風でも学校に通えていたのに東京では電車が止まって学校に行けないことがあることに衝撃を受けて、気候変動の問題は深刻なのだなと考えるようになりました。自分の子どもが大きくなったときに世の中がどうなってるのか考えると、気候変動に対するアクションをとってきたと子どもに胸を張ってといえるようになりたいと思ったんです。

小出さんは大学卒業後もさまざまな形で運動に携わっていきたいと語ります。

日本社会のムードを変えるために

――2021年4月にClimate Live Japanはイベントを開催しますよね。長期的に見ると、みなさんはその後どのように環境問題に取り組んでいきたいと考えていますか?

小出 直近ではClimate Live Japanを 4月と10月に開催するので、4月に参加した人が次のアクションとして10月にまた動いてほしい。わたしは来年大学を卒業してしまうのですが、学生じゃなくなったときにどんなことができるのか未知数なので、実際にさまざまなアプローチをとりながらいろいろな選択肢を考えたいです。一度気候変動の危険性に 気づいてしまった以上、この先も取り組みは続けていくつもりです。

山本 逆にぼくは来年のイベントが終わってから大学に入るので、大学生のうちにこの活動を続けていく可能性を探っていきたいです。いろいろな人の常識を変えられるような、生活に根ざすところに影響を与えられるようになれたらと思います。

田代 わたしはあと一年大学生を続けるのですが、いまClimate Live Japanの法人化計画も進んでいて、4月のイベントでインパクトを残すだけでなく、環境問題に興味がない人に向けて活動を広げていけたらなと。

山本 さまざまな社会課題があるなかで、気候変動の問題は長く付き合っていかなければいけないし、ぼくらが対策を講じるど真ん中の世代でもある。使命感はありますね。ただ、同時に根本的な原因は社会のシステムにあるとも思うので、気候変動からはじまってほかの問題にも取り組むことになる気がしています。いずれにせよ若い世代が発信していくこと、胸を張って自分たちが次の時代を担うんだと言えるような流れを生み出すことが重要ですよね。

自分の子どもの世代にも胸を張りたいと語る田代マホさん。

――Climate Live Japanにとどまらず、活動を続けていくことは重要そうですね。

小出 将来的には、人と社会を変えるための手段としてまずは企業を変えることが自分のテーマですね。企業が変われば自然と消費者も変わりますから。一方で、気候変動の問題に取り組むことで世界も広がったし、刺激的で楽しい側面もある。単に正義を主張するだけでなく、楽しく持続可能な活動を行なっていきたいです。

山本 自分たちだけで変に使命感を背負ってしまうのは危険ですよね。企業を変えるのも政治を変えるのもそうで、みんなが自分ごとと して環境問題を考えるようになってほしい。

田代 日本では“アンチグレタ”の人も多くて、社会問題の発信に対してネガティブなイメージがあります。環境にやさしいオーガニック製品は高いとか気候変動に取り組むなんてダサいとか、マイナスのイメージを変えていかないといけない。そのためにも、活動している人々が楽しんでいないと注目もされないと思うんです。それが今回は音楽ライブかもしれないし、今後も自分たちが楽しいと思えることで発信していきたいですね。

小出 日本で何か発言しようとすると「よく知らないくせに」とか批判されることも多いけど、海外の運動のほうがいい意味で感情的ですよね。嫌だから嫌とか、純粋な思いから声を挙げている。

山本 これまでぼくたちは窮屈にやっていたと思うんですよね。こんなことをしたらこう思われるかもとか、しがらみがあった。でも、海外の人はまっすぐに変えたいという気持ちで動いている。日本はそれがうまく進めづらいので、ぼくたちの活動を通じて世間のムードも変えていけたらいいなと思っています。

 

 

*「The Blue Project」とは、「青い地球を未来につなぐ。」という存在意義を掲げる自然電力のプロジェクト。その目的を共にするチェンジメーカーたちと、いま考えることを探求していきます。
* 黄色い照明は、自然電力の活動に賛同するLittleSunのプロダクトです。
Climate Live Japan
イギリスの高校生が発起人となった、学生が主体となって気候変動への理解と行動喚起を目的とする音楽ライブイベント「Climate Live」日本版。世界中の学生環境活動家に広がり「Climate Live」は現在世界40カ国で開催されている。日本では2021年4月24日(土)に開催予定。 https://www.climatelivejapan.com/

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イギリスの高校生が発起人となった、学生が主体となって気候変動への理解と行動喚起を目的とする音楽ライブイベント「Climate Live」日本版。世界中の学生環境活動家に広がり「Climate Live」は現在世界40カ国で開催されている。日本では2021年4月24日(土)に開催予定。 https://www.climatelivejapan.com/

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