畑から食卓へ ビジョンをもって進化を続ける農園レストラン

自然電力の地域還元への取り組み「1% for Community®」から生まれた「一般社団法人自然基金」のNoteに掲載(2022年12月22日)されたものを転載しています

 

一般社団法人自然基金(以下、自然基金)は、自然電力グループが開発した再生可能エネルギー発電所の売電収益の約1%を地域に還元するプロジェクト「1% for Community」に取り組んでいます。2022年度は、地域コミュニティを牽引する次世代リーダーの輩出を目指す「熊本リーダーズスクール」を開催。

今回は、8月25日と26日の2日間にわたって実施した、第3回福岡フィールドワークのレポート3回目です。世界遺産『「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群』見学の様子や、古民家をセルフリノベーションした農園レストラン「A.PUTEC FLEGO」オーナー夫婦のお話などを紹介します。

※「熊本リーダーズスクール」第3回 フィールドワークin福岡 レポート①レポート②

【福岡フィールドワーク1日目行程】
■「下川織物」(八女市)の3代目織元・下川強臓氏によるレクチャーと工場見学
■「うなぎの寝床 旧丸林本家」(八女市)で、UNAラボラトリーズ・渡邊令氏によるコンセプト説明
■「花むらさき」で昼食
■八女市横町町家交流館で、「うなぎの寝床」代表・白水高広氏によるオンライントーク
■「ひのさと48」(宗像市)の施設見学、東邦レオ ディレクター吉田啓助氏による施設紹介
■「すすき牧場」(宗像市)で、代表・薄一郎氏による独自の飼育販売モデル説明とBBQ懇親会

【福岡フィールドワーク2日目行程】
■宿泊先「グローバルアリーナ」(宗像市)で、地産地消の朝食と、正助ふるさと村統括部長・三浦哲久氏によるフードロスゼロ運動の説明
■宗像大社辺津宮(へつぐう)・高宮を参拝
■「A.PUTEC FLEGO(アプテカフレーゴ)」(福津市)で昼食、オーナーのシルビオ・カラナンテ氏による店紹介
■「津屋崎千軒なごみ」(福津市)で、参加者のプロジェクト発表とフィードバック

地産地消の彩り朝食と、宗像市での新たな取り組み
世界遺産・宗像大社の見学も

2日目の朝食は、宿泊先の多目的スポーツ総合施設「グローバルアリーナ」で、宗像市産の彩り豊かな野菜やフルーツを使ったメニューが提供されました。規格外の食材を農家から直接仕入れることで、食品ロスにもつながっているそうです。

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朝食時に、正助ふるさと村統括部長の三浦哲久さんによるプレゼンテーションが実施されました。三浦さんは、市役所や商工会、観光協会などに点在する地域情報をまとめたり、フードロスゼロやフードマイレージに関する活動をしたりと、宗像市の観光・食に関するさまざまな取り組みを行っています。三浦さんいわく「よそ者をなかなか受け入れない地域」だという宗像市で、新しいことを始めることの難しさや今後の展望について話を聞きました。

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▲正助ふるさと村統括部長・三浦さん

続いては、2017年にユネスコの世界文化遺産に登録された、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の見学へ。宗像市田島地区にある宗像大社の辺津宮・高宮を参拝しました。

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宗像大社は、沖ノ島の「沖津宮」、大島の「中津宮」、そして田島地区の「辺津宮(へつぐう)」の三宮を総称して「宗像大社」といいます。3つの宮には、天照大神の御子神として産まれた三姉妹の女神である、宗像三女神がそれぞれ主祭神として祭られています。神職による案内を受けながら、日本の信仰や文化の歴史をたどりました。

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ビジョンを持ち、進化し続ける!連日満席の農園レストラン

福津市にある、のどかな田園風景の中に建つ農園レストラン「A.PUTEC FLEGO(アプテカ フレーゴ)」。古民家をリノベーションした、地中海の建物をイメージさせる白壁が印象的な外観で、ランチタイムは連日満席になるほどの人気店です。オーナーのシルビオ・カラナンテさん、花田愛さん夫婦に、店づくりで大切にしていることを聞きました。

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イタリア南部のナポリ出身のシルビオさんと福津市出身の花田さんは、イタリアで出会って結婚。福津市に移住し、無農薬・減農薬のイタリア野菜をつくり始めて、2017年11月に念願の農園レストランをオープンしました。

「店を開くために福津市内の物件を探しまわり、見つけたのが、この築約60年の古民家でした。当時はお金がなく、出来るだけコストを少なくするため、専門知識が必要なところ以外はほとんど自分たちでリノベーションしました。雑草を刈るところから始め、少しずつ改装して、オープンまで1年かかりました」とシルビオさん。

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▲「A.PUTEC FLEGO」オーナー・シルビオさん(左から3人目)、花田愛さん(同4人目)夫婦

「今もリノベーションは続けていて、常にバージョンアップしています。リピーターのお客さまは来るたびに驚かれます。進化は永遠に終わらないでしょうね」と笑顔。ずっと進化を続けられる理由は「心の中にやりたいこと、ビジョンを持ち続けているから頑張れます。時にはクレイジーになることも大事」と断言します。

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「食材の素晴らしさや旬が持つ意味を、料理を通して伝えたい」と、毎朝、畑の様子を見てメニューを決めるという同店。市街地から離れた田園地帯にあり、決して立地がいいとはいえません。またホームページがなく積極的に情報発信はしていませんが、東京や北海道など全国各地からお客さまが訪れています。

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「ビジョンを持って、心地よい雰囲気やサービス、おいしい料理など価値あるものを提供していれば、お客さまは情報を得てどこへでも来てくれます。場所は関係ありません。それから“人”も大事。店に興味を持って、一緒に走ってくれるスタッフと働くことも大事です」

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お二人が丁寧に育てた野菜をたっぷり使った料理、やりたいことを実現するため、自分たちに出来ることを少しずつ積み上げてつくり上げた、思いが詰まった空間ー。参加者の皆さんは、ランチメニューを堪能しながら、なぜこのお店が多くの人を惹きつけるのか、納得した様子でした。

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プロジェクトを発表し、講師からのフィードバックと意見交換

最後は、「津屋崎千軒なごみ」で、受講者の皆さんのプロジェクト発表を行いました。スープの移動販売や、点字をモチーフにしたアート作品を広める仕組みづくり、市民参加型農業体験施設の整備などのアイデアが出され、プロジェクトを通して解決できそうな地域の課題や、目的、方法などについて共有しました。講師から、専門家目線の指摘やアドバイスを受け、また受講者同士で意見を交換しあうことで、プロジェクトのコンセプトやコンテンツの解像度を高めていました。

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2日間にわたる福岡フィールドワーク。参加者からは、「他者の事業を実際に体験することで、自分のプロジェクトを客観的に見ることができた。もっとコンセプトを磨きたい」「プロジェクト発表でたくさんのフィードバックをもらい、今後やるべきことのヒントを得ることができた」などの感想が出ていました。

熊本リーダーズスクールは全6回のプログラムです。第4回は、香川県三豊市に、フィールドワークで訪れた様子をレポートします。

同スクールは、株式会社インターローカルパートナーズが企画・主催し、一般社団法人合志農業活力基金と自然基金の後援で1年間運営していきます。

 

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