過剰包装を減らすには? 日本独自の文化「風呂敷」をエコバッグとして利用してみよう

過剰包装を減らすには? 日本独自の文化「風呂敷」をエコバッグとして利用してみよう

丁寧な包装や梱包は日本独自の価値観や気遣いのひとつではありますが、使用されたプラスチックや紙は一度使用すると大抵ごみとなってしまいます。

近頃は環境問題への意識の高まりにより、簡易包装を呼びかけるお店も増えてきています。

環境に配慮された包装資材やリサイクル推進は、ごみ問題や地球温暖化の抑制にどのような貢献をもたらしているのでしょう。

また日本独自の「ものを包む」文化である風呂敷にも注目が集まっています。

2020年に始まったレジ袋有料化も手伝い、買い物の荷物を包むためのエコバッグとして風呂敷の需要が高まっています。

この記事では梱包・包装と環境問題との関係、そして日本の風呂敷文化についてご紹介します。

梱包の役割と過剰包装による環境負荷

梱包・包装の役割とは

梱包や包装には様々な役割があります。

まず内容物の品質保持機能、特に食品や飲料の場合は外部の熱や湿気、菌などから中身を守る必要があります。小分けに包装されている食品は清潔を保てるだけでなく、消費期限をのばし食品ロスを減らすこともできます。

さらに輸送や保管の際に効率を高めるために適切な梱包をすることも重要な役割のひとつです。
遠隔地などへ荷物を運ぶ際に破損や変形をしないように、衝撃から中身を守るためのはたらきもします。

そのほかにも外部からの人為的ないたずらを防ぐための機能もあり、梱包や包装は内容物を保護するために必要なものです。

図1は梱包・包装の持っている役割を示した図です。

図1: 包装の役割
出典: 経済産業省「容器包装の機能と役割」(2014)
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/committee/n/12/youri12_ap09-02.pdf, p.8

図1以外にも包装紙やリボンなどの装飾をすることで商品の価値を高めるといった販売促進やブランディングにも役立ちます。
贈答品やお土産などの梱包・包装にこだわることは、相手に感謝やお礼の気持ちを伝えることができます。

一方で梱包の機能は高めようとすればするほど、過剰包装になってしまいます。
いくら綺麗なラッピングでも、使用された包装紙やリボン、梱包剤などは廃棄物を増やす原因になります。

また梱包には軽くて扱いやすく、密閉性の高い素材であるプラスチックが多く使用されています。

しかしプラスチックは石油から作られているので自然界では分解されません。
梱包に使用されたプラスチックがポイ捨てなどされて適切な処分がされないことで海に流されると、海洋汚染につながります。

さらにプラスチックは焼却時だけでなく、製造段階においてもCO2を発生させ地球温暖化にも多大な影響を与えます。

過剰包装に対する消費者の意識

過剰包装とは一般的に商品が必要以上に紙や発泡スチロールなどに包まれていることを指します。

過剰包装に関する規制は自治体単位で行われており、細かな基準を設けています。
大阪市の消費者保護条例では、以下のような梱包や包装に対して過剰包装としています。

  • 内容品を実際の量以上に見せているもの(図2)
  • 包装経費が販売価格の15%以上を占めるもの
  • 中身に対して箱が大きすぎるもの
  • 包装容器が他のものに使用できると明らかに偽装したもの

図2: 過剰包装の一例
出典: 大阪市「過剰包装基準について」(2017)
https://www.city.osaka.lg.jp/lnet/page/0000002422.html

過剰包装の定義は自治体によって異なりますが、廃棄処理に困るものや包装を豪華にし中身をよく見せる包装なども過剰包装にあたります。

なお、これらの規制はあくまでも消費者保護の観点であることが多く、廃棄物削減を目的に加えている一部の自治体を除いては環境保護の観点のものは少ないのが現状です。

このような過剰包装は意外と身近にあふれているのではないでしょうか。

次にプラスチックごみに対する世論調査について紹介します。

調査結果によればお弁当の使い捨て容器や飾り、レジ袋、通販などで使用される緩衝材などに対して、多くの人が過剰包装だと感じています(図3)。

図3: 過剰だと思うプラスチック製容器包装・製品
出典: 消費者庁 令和2年版消費者白書「プラスチックごみに対する消費者の意識」(2020)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2020/white_paper_137.html

また消費者庁が2019年に行った消費者意識基本調査によれば、捨てる量を減らさなければと強く感じるものとして「プラスチックの容器包装」と回答した人が8割以上となっています[*1]。

多くの消費者が日常的に梱包や包装に対して過剰であると感じ、ごみを減らさなければと意識していることが分かります。

国内外での簡易包装による環境負荷低減の取り組み

世界の容器包装のリサイクル推進と発生抑制の取り組み

梱包材や包装容器に多用されているプラスチックのごみ問題は世界共通の課題として認識されています。

世界各国では容器包装のリサイクルを推進するために、さまざまな取り組みを行っています。

EUでは使い捨てプラスチック10品目に対して、2018年に新しい規制を提案しています(図4)。

図4: 欧州委員会の提案した使い捨てプラスチックに対する新しい規制内容
出典: 環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」(2018)
http://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-01/y031201-2x.pdf, p.6

梱包・包装に関するものとしては、食品容器、箱・包装、軽量プラスチック袋に関して消費削減、EPR(生産者の義務拡大)、意識向上などを求めています。

消費削減とは各国が削減目標を設定し、代替品普及やプラ袋の有料化を実施する取り組みです。EPRでは生産者の責任として、廃棄物の管理や清掃、意識向上へのコストを負担することとしています。

レジ袋に関しては先進国、途上国関わらず無償配布を禁止している国が多く、中国、台湾、インドなどでは製造・販売・使用自体を禁止しています[*2]。

また韓国では過剰包装を防止するために、生産者、輸入者、販売者に対して政府が詳細な基準を決めています(図5)。

図5: 製品毎の包装方法に関する基準(一例)
出典: 経済産業省「我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比較結果」(2010)
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/data/research/h22fy/22fy2203-1_mufg/22fy2203-1_mufg-03.pdf, p.70

過剰包装を取締るために最低年に1回の検査が行われており、事業者への罰金制度も規定しています。
さらに自治体によっては市民による通告制度も採用しており、違反した場合は過剰包装の例として一般に公表されます。

日本の容器包装リサイクル法の取り組みと成果

日本では家庭から出るごみの約60%が容器包装廃棄物です[*3]。

そのため家庭から排出される容器包装廃棄物の減量化とリサイクルを推進するために、1995年に容器包装リサイクル法が制定されました。

容器包装リサイクル法では中身を消費した場合に廃棄されるものを「容器包装」と定義し、リサイクルの対象としています。

消費者の排出抑制と分別排出、自治体の分別収集、事業者の再商品化・リサイクルとそれぞれ役割分担をはっきりと定義していることがこの法律の特徴です。

容器包装リサイクル法によって梱包に使用されたガラス、PETボトル、紙、プラスチックは図6のように再商品化されています。

図6: 容器包装の再商品化
出典: 一般財団法人 食品産業センター「容器包装リサイクル法とは」
https://kankyo.shokusan.or.jp/wrap/w-1

この法律によって廃棄物の最終処分量は減少しており、一般廃棄物のリサイクル率は公布時の9.8%から19.6%まで改善されています(図7)。

図7: 一般廃棄物の総資源化量とリサイクル率の推移
出典: 公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会「容リ法の成果と課題は」
https://www.jcpra.or.jp/law_data/result/tabid/565/index.php

さらに一般廃棄物最終処分場の残余年数も、1995年の公布時には8.5年だったのに対し、2019年には21.4年になっており、一定の改善が見られます[*4]。

また、国内の食品メーカーなども環境配慮にされた容器包装の開発を進めています。

具体的には包装資材の軽量化・薄肉化によるプラスチック使用量削減、外箱や仕切りの廃止、詰め替え用商品の販売などを行っています。

日本独自の包む文化「風呂敷」を活用してみよう!

2020年7月から始まったレジ袋有料化は、プラスチックの過剰な使用を抑制し容器包装廃棄物を削減することを目的としています。

レジ袋有料化によって、日々の買い物でマイバッグを持参することが当たり前になっている人も多いでしょう。

2020年11月に環境省が行ったWEB調査によれば、レジ袋有料化以前の2020年3月時点で3割だった「1週間でレジ袋を使用しなかった人の割合」が7割まで上昇しています[*5]。

さらにレジ袋を再利用している人は8割以上、エコバッグを所有している人は9割以上になっています(図8)。

図8: レジ袋とエコバッグに関するアンケート調査結果
出典: 環境省「令和2年11月レジ袋使用状況に関するWEB調査」(2020)
http://plastics-smart.env.go.jp/rejibukuro-challenge/pdf/20201207-report.pdf, p.5

エコバッグの需要の高まりに伴い注目が集まっているのが、日本独自のものを包む文化である風呂敷です。
一枚の四角い布で荷物を包んで運ぶことのできる風呂敷は、古くから日本人の生活に根付いた道具として使用されてきました。

風呂敷が現在のような形になったのは室町時代ですが、布で物を包むという風習自体は奈良時代から存在しており、1300年以上の歴史があります。
江戸時代になると庶民が銭湯に通うときに道具を包むために使用され、その後は商業の発展や国内を移動する「旅」が一般化したことから、銭湯以外でも物を運ぶための布として大量生産されてきました。
昭和以降の手提げ袋の普及により、現在では実用品というよりも婚礼内祝や仏事返礼などの贈答品に使用されるようになっています。
現代では物の持ち運びは西洋から入っていたカバンが主流となっていますが、エコバッグとして使用できることから再び風呂敷の需要も高まっています。

風呂敷は薄くて軽いので持ち運びも容易で、繰り返して使うことができます。
綿製であれば気軽に洗濯ができるので清潔を保ちやすく、新型コロナウイルスに対する感染対策にも向いています。

日常的にマイバッグとして買い物のときに風呂敷を利用するには、「ドロップバッグ」や「すいか包み」がおすすめです(図9)。

図9: ドロップバッグとすいか包みの使い方
出典: 東京都防災ホームページ「災害時にも役立つ風呂敷」
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/bousai/1000027/1006177.html

この包み方は肩から提げることもできるので、重い荷物も運びやすいでしょう。

また風呂敷は物を包むだけではなく、暑さ対策や防災グッズなどさまざまな活用方法があります(図10)。

図10: 風呂敷の包み方・使い方
出典: FUROSHIKI TOKYO 「ENJOY!風呂敷」
https://furoshikitokyo.com/enjoy/

図10にあるような怪我をしたときの応急処置として三角巾として使用したり、災害発生時にも役立つのがエコバッグにはない風呂敷独自の特徴です。

風呂敷は瓦礫の撤去作業や片付けを行う際の頭巾やマスク、授乳ケープ、避難所での仕切りなどにも活用できます。

まとめ

梱包・包装によって排出される廃棄物を減らすために、私たちにできるアクションは3つあります。

  • アクション1 買い物にはマイバッグや風呂敷を持参しよう
  • アクション2 過剰包装を断ろう
  • アクション3 環境に優しい容器包装の商品を選ぼう

まず日常の買い物で、食品が包まれているフィルムやお菓子の個別包装など、梱包や包装にどれほど多くのプラスチックや紙が使用されているのかを意識してみましょう。

簡易包装された商品や詰め替え可能な商品を積極的に選ぶことで、環境負荷低減に貢献できます。

また自宅ですぐ使用するものは包装を断ったり、贈答品などもできるだけ過剰包装されていないものを選ぶことで、無駄なごみを減らすことができます。

一人一人がアクションを起こすことで、次世代につながる大きな力になります。
まずは明日からできるアクションはなにかを考え、出来ることから始めてみましょう。

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参照・引用を見る

*1

消費者庁 令和2年版消費者白書「消費者問題の動向と消費者意識・行動」(2020)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2020/white_paper_129.html#zuhyo-1-2-1-7

*2

環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」(2018)
http://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-01/y031201-2x.pdf, p.7

*3

環境省HP「容器包装リサイクル法とは」(2021)
http://www.env.go.jp/recycle/yoki/a_1_recycle/

*4

公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会「容リ法の成果と課題は」
https://www.jcpra.or.jp/law_data/result/tabid/565/index.php

*5

環境省「令和2年11月レジ袋使用状況に関するWEB調査」(2020)
http://plastics-smart.env.go.jp/rejibukuro-challenge/pdf/20201207-report.pdf, p.1